週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2/21号
2012/2/13更新

“トーリの悲劇”
18番でまさかの「トリ」を叩いて優勝逃したスタンレー

 石川遼が13位タイと健闘した米ツアーのファーマーズインシュアランスオープンの優勝争いで大どんでん返しがあった。最終18番を3打リードで迎えたカイル・スタンレーがまさかの逆転負けを喫したのだ。

 まるで99年の全英オープンでジャン・バンデベルデが演じた“カーヌスティの悲劇”の再現を見ているかのようだった。

 初日から首位を走ったツアー 2年目、24歳のスタンレーが最終日も首位を譲らず、すでにホールアウトしていたブラント・スネデカーに3打差をつけ最終ホールを迎えていた。

 18番は池絡みのパー5。飛ばし屋のスタンレーにとって2オンも可能だが、安全策をとって刻み3オンで楽勝のはずだった。実は舞台裏では、彼の勝利を確信した大会運営スタッフが、表彰式で手渡す巨大小切手にスタンレーの名前を記入していたそうだ。

 ところがピンそばにぴたりと寄せるはずだった残り80ヤード強のアプローチがショート。不運にも手前に跳ねて傾斜を転がり落ち、池につかまる大誤算。さらに5打目はグリーン奥まで飛びすぎ、下りのファーストパットはショート。「これを入れれば勝ち」という1メートルのパットも外して、3パットのトリプルボギー。3打のリードを一気に吐き出す格好となった。

 18番のドタバタで、もはや精も根も尽き果てたスタンレーはプレーオフ2ホール目で1.5メートルのパットを外し、万事休す。勝ったスネデカーは「まさかプレーオフになるとは!」とうれしい誤算に大興奮。負けたスタンレーは「またチャンスがあるさ」と皆に励まされるも「う~ん」とうなだれ、小さな声で「サンキュー」とつぶやくのが精いっぱいだった。

 全米オープンの舞台にもなったトーリパインズで起きた「トーリ」の悲劇。皮肉にも主役のスタンレーの知名度は、バンデベルデ同様、急上昇した。

 
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