欧州ツアー5戦目、コマーシャルバンク・カタールマスターズ(ドーハGC)は43歳のポール・ローリーがセルヒオ・ガルシアらを振り切り、13年ぶりに優勝。ツアー通算7勝目を飾った。
ローリーといえば、99年全英オープンの勝者。「カーヌスティの悲劇」といわれる、ジャン・バンデベルデのカーヌスティ最終ホールの信じられないトリプルボギーによって、プレーオフの末の“タナボタ”優勝だったが、今大会は2位のジェイソン・デイらに4打差つける圧勝だった。
ローリーは今回の優勝に涙したが、実はこの涙には、亡くなった恩師への追悼の気持ちが込められていた。
アダム・ハンターがその恩師。ローリーはスコットランドでの“ガキ大将”時代からハンターに教わり、途中かわるも、復帰。
そのハンターは2年前に白血病を患い、昨秋、他界した。
「子どもの時代からすべてを教えてもらい、これからも2人3脚で」と、99年の全英勝利のあとにもローリーは語っていたものだ。
恩師の死を乗り越え勝利したといえば、95年マスターズのベン・クレンショーが思い出される。クレンショーは2度目のマスターズに勝利した瞬間、18番グリーンで泣き崩れた。幼少期から、大学時代を通じての恩師、ハービー・ペニックがマスターズの始まる1週間前に亡くなったからだ。
「マスターズで、私のバッグには15本のクラブが入っていた」と優勝の瞬間、スピーチで語った。もちろん15本目のクラブとはペニックから受けた幾多の教え。
キャディという味方がいる以外は、ゴルフは独りで闘う競技。だからこそ心と技術の支えになる「コーチ=15本目のクラブ」は強力な味方となるのだろう。
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