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マスターズで大チョンボしたビセンゾ
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米女子ツアー、ホンダLPGAタイランドは、宮里藍の奮闘ぶりが話題になったが、実はもうひとつ話題を提供したのが諸見里しのぶ。スコアを過大申告してしまったのだ。
初日のスコア提出後に5番ホール(パー4)の「3」を「4」と申告。1打過大申告したことが判明した諸見里。過小申告は失格となるが、過大申告はそのままのスコアが採用されるルール。この過大申告で諸見里は、最終的に順位を2つ損した(本来31位タイが33位タイになった)が、もし優勝争いをしていれば大騒ぎになったことだろう。
じつはこの「優勝争いの過大申告」が実際あったのだ。時は1968年マスターズ。アルゼンチンのロベルト・デ・ビセンゾは最終日17番パー4のバーディを「4」でスコア提出。トミー・アーロンがマーカーで、その数字を書いたのだが、もちろん確認のサインをしたのはビセンゾ自身。スコアはそのまま採用された。過大申告せず、スコアどおりならば優勝したボブ・ゴールビーと並びプレーオフになるところだったのだ。
ビセンゾは前年、全英オープンにも勝っていて、2度目のメジャーを獲るチャンスをフイにした“大きな1打”だった。マスターズ創設者のボビー・ジョーンズは「今年は2人のチャンピオンがいた」とビセンゾを慰めた。
これには後日談があって、09年、アルゼンチンのアンヘル・カブレラがマスターズに勝利した時、ビセンゾは「失った勝利を祖国に持って帰ってくれた!」と欣喜雀躍(きんきじゃくやく)したのだった。
日本ではそれほどの過大申告事件は起きていない。ただ笑える類の記録はある。87年、東海クラシック2日目、“九州の鷹”鈴木規夫は9番を「4」で上がった。しかしマーカーが9番の欄にハーフの合計スコア「42」を書いてしまった。鈴木はそのことを見逃しサインして提出。なんとハーフ「80」合計「122」と記録されてしまった。
「まさかハーフ合計スコアを9番の欄に書いているとは。あの年はそのため、平均ストロークがぐーんと悪くなりました」と、鈴木はいまだに苦笑いする。
過小申告は発覚すると失格になるので話題になるが、過大申告のほうは恥ずかしい気持ちがあって、黙っているケースが意外に多いのだという。
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