週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/29号
2012/5/21更新

いったい何が起こっている? これからどうなる?
アコーディアVSPGM

 国内ゴルフ場経営の2大大手、アコーディアとPGMが、大株主ぐるみの一大バトルを展開している。

秋本専務の緊急会見

 ことの発端は4月17日午後5時に、アコーディアの秋本一郎専務が突然単独会見を開いたことにある。この会見の場で、秋本氏は、「アコーディアの竹生道巨社長が会社の資金を私的に流用しているという、株主からの告発を受けたので、竹生社長に事実関係の調査を進言したら、専務執行役以外のすべての役職から解任された」と訴えた。

 アコーディアは同日午後8時半すぎ「既に社内調査が進行中なのに、秋本氏が独断で会見を開催した」として、秋本氏を激しく非難するリリースで応戦。




株主委員会が
取締役候補を提案

 4月26日午後5時、今度は「アコーディア・ゴルフ株主委員会」なる組織が会見を開いた。“秋本会見”以降の会社側の対応への不満を露わにし、6月28日に開催予定のアコーディアの株主総会で、取締役候補者の独自案を提案することを表明した。

 会社の取締役は、普通は会社側が提案して株主総会に諮るが、株主も一定の要件を満たすと独自案を提案できる。ただし、提案は総会の8週間も前に出さねばならないので、総会まで、まだ2カ月もあるのに、この時期の提案となったのだ。

 この場で秋本氏がいう「竹生氏の問題を告発した株主」が、アコーディア10番目の大株主・オリンピアだったことが明らかになる。このオリンピアはPGM株を約8割所有しているパチンコ機器メーカー平和の子会社で、平和のオーナーである石原昌幸氏もアコーディアの4番目の大株主。

「株主委員会」が提案した取締役候補者には、秋本氏は含まれていたが、竹生氏以下、現取締役は一人も含まれていない。

 売られたケンカは買わねばならぬと思ったのか、翌4月27日午前11時半、アコーディアが強烈な反撃リリースを出す。既に今年1月、PGMからは経営統合の提案を受けているが、現在は交渉が凍結されていること、PGMが平和と一体となって竹生社長のスキャンダルを利用して揺さぶりをかけてきているなどと暴露した。

キーマンは
神田PGM社長

 そのPGM側の交渉窓口に立っていたのが神田有宏社長だ。ゴールドマンサックス出身でアコーディアの創設メンバーでもあり、昨年10月までアコーディアの幹部だった人物である。昨年暮れ、ローンスターに代わって平和がPGMの筆頭株主となった際、新社長に神田氏が招聘されたときは、業界中が驚いた。

 同日夜、PGM側は「本日のアコーディアのリリースは事実にないことや省略が多い」とする反論リリースを開示。

 GW明けの5月9日、アコーディアは特別コンプライアンス委員会(片山典之弁護士、澤田勲公認会計士、ジャーナリストの蟹瀬誠一氏で構成。いずれも社外取締役)の調査報告書を公表。結論は「竹生氏に関する株主からの指摘は、金額も指摘より大幅に低かったし、竹生は流用分をすべて返却済み。秋本氏にも私的流用の事実があったのに事実を認めないうえに返却しようともしない」(片山弁護士)というもの。

 会社として、株主総会でだれを取締役に推薦するかは、「社外取締役3名などで構成する指名委員会で、株主や従業員、関係者の意見をヒアリングして提案する。会社提案に竹生氏が入るのかどうかは今のところ未定」(片山弁護士)という。

株主委員会と
会社側の委任状争奪戦

 この結果に対し、同日夜、秋本氏個人ではなく株主委員会が反撃リリースを出し、「不都合な者を体裁良く排除する目的の茶番」と斬り捨てた。さらには5月24日には他の株主向けに説明会を開催するとし、総会での委任状争奪活動(プロクシーファイト)を本格化させることが明らかになった。

 株主委員会が推す取締役候補者を“当選”させるには、他の株主からの委任状が必要。当然、これからの2カ月、会社側との間で熾烈な委任状争奪戦が展開されるだろう。ただ、アコーディアの株主は7割が機関投資家だが、3割は個人。その中には会員も多数含まれる。金融の論理だけでは会員の心は動かせない。

 竹生氏は10日のアナリスト向け決算説明会の場で、「安くて楽しいイメージが定着しすぎた。太平洋を核に、今後はハイエンドのブランドイメージ作りに努力する」ことを強調した。

 個人株主3割は少ないようでいて実は大きい。今後、双方からどんな提案が出てくるのか、注目したい。

 
【関連記事】
2012/ 2/14 太平洋クラブが民事再生を申請。アコーディアがスポンサーに
2011/11/22 PGM株がパチンコの平和に売却。ゴルファーに「平和」はある?
2011/ 2/ 1 メンバー優先に転換?GSの傘下を離れるアコーディアの今後

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト

ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です