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勝ったシンプソンも、厳しいコースセッティングには舌を巻いた?
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今年の全米オープンはウェブ・シンプソンが優勝したが、真の勝者は舞台を演出したUSGA(米国ゴルフ協会)だったのではないだろうか。
優勝したシンプソンのスコアは281(1オーバー)。アンダーパーどころか、パープレーすら一人もいない全米オープン。USGAは優勝スコアをパープレーに設定してコースセッティングする。マスターズなどはバーディ合戦で、エンターテーメント性を盛り込むが、全米オープンはあくまで「コースのパーと闘う」という姿勢。1打の重みを問うのである。
今年の舞台となったオリンピックCでは、05年に5度目の開催が決まったが、実はそれより3年前の02年には全米オープンに照準を合わせたコース改造に入っている。同コースの特徴だった樹木を3000本切った。海風を入れて難易度を上げるだけでなく、陽光を入れ、風通しをよくし、芝の生長を促し、速いグリーンをつくりあげ、距離も前回(98年)より373ヤード伸ばした。
98年大会に出場し、今年のTV解説者でもあった青木功は「前はうっそうとした森のなかでやった記憶だけ。今はまったく別のコース」とコメントしている。
競技委員をつとめた川田太三氏はいう。「これほどすべてがうまくいったのは珍しい。いくら人智をつくしても、気候など自然の偶然には勝てない。昨年のコングレッショナルCCは、試合前まで異常乾燥していて、水を大量に撒かざるを得なくなった。結果、止まるグリーンになって、16アンダーの優勝スコア(マクロイ)を出してしまった。また09 年のベスページブラックはただ距離が長いだけ、優勝スコアも4アンダーの大味な試合になってしまった。その点、今年はアルバトロスもあり、大会史上一番長い670ヤード・パー5も、105ヤードのパー3もあった。霧が多く発生する土地柄なのに天候も安定。“五つ星”の大会になった」
試合後、USGAのある幹部がガッツポーズをしていたそうだ。
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