先週初め、ゴルフ界を駆け巡ったのが、オーガスタナショナルがクラブ創設80年にして初めて2名の女性会員を入会させると発表したニュースだ。どんなに批判されようと守り続けてきた「メンズクラブ」の伝統も、社会の変化には抗いきれなかったのだろうか。
同GCは20日、チェアマンのビリー・ペインが「われわれは、コンドリーザ・ライス氏とダーラ・ムーア氏を会員として迎え入れられることを心より嬉しく思う」とコメント。両女史のメンバー入りを発表した。
初の女性会員となる2人のうち、ライスはブッシュ前大統領時代の国務長官で、全米ゴルフ協会(USGA)の理事候補でもある。一方、ムーアは「全米のビジネス界で最もタフな女性」と評されたこともある投資家だ。
今回の決定に「とうとう」と感じる向きは多かったろう。というのも、オーガスタが男性会員しか認めないことには以前から批判が強く、02年には全米女性評議会(NCWO)という女性の権利獲得団体が猛烈な抗議を展開。抗議はマスターズのスポンサー企業にも及んだため、マスターズのTV中継は03年、04年とCMなしで行うはめになった。
さらに、オーガスタナショナルの大スポンサー、IBMのCEOは歴代会員になってきたが、昨秋就任の女性CEOロメッティ氏のメンバー入りは認められず、非難の声が挙がっていて、オバマ大統領も圧力をかけていた。
それに対し、これまで「誰を入会させるかを決めるのはわれわれだ」とかたくなに耳を貸さなかったクラブ側も、やはり時代の趨勢を無視することはできなかったのだろう。
また、09年には発展するアジアに目を向け、優勝者をマスターズに招待するアジアアマチュア選手権の創設に加わったり、昨年からはネットを通じて、パトロン(後援者)以外にマスターズの観戦チケット販売を始めるなど、改革の姿勢も見せ始めた。
さて、次なる変革は……。
全英オープンが今年始めた「携帯電話の持ち込み可」になるのだろうか。
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