世界のゴルフルールを統括する総本山R&Aと、USGA(米国ゴルフ協会)が、これまで懸案とされてきた中・長尺パターの規制問題改訂の共同提案を発表した。
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アダム・スコットは胸に固定
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キーガン・ブラッドリーはおヘソで固定
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この問題、2016年に改訂されることは決定しているのだが、その内容に関してわざわざ前倒しで発表したのは、それほど論議が沸騰していたからだ。
日本ではそれほど普及していないが、欧米ツアーではすでにこの中(ベリー)・長尺パターを使ってメジャーを勝っている選手が近年増えているものだから、大騒ぎになっていたわけだ。メジャーチャンプの内訳は、キーガン・ブラッドリー(11年全米プロ)、ウェブ・シンプソン(12年全米オープン)、アーニー・エルス(12年全英オープン)。
今回の共同提案をみると、用具そのものを禁止するのではなく、その打ち方──アンカーリング(グリップエンドを体のどこかにつけて行うストローク)を禁止するという内容。ブラッドリーは、パター自体が禁止されれば裁判も辞さない構えを示していたので、少しは配慮したのかもしれない。
「R&Aは本来パターを禁止したいのでしょうが……。打ち方を規制すれば、自然にパターそのものも使用されなくなると思っているフシがあります。伝統と慣習、600年来そんなパターは使われなかったというのが禁止の真意でしょうが、それなら長尺パターが登場した20年前に禁止すべきだったと思います。その頃にゴルフを始め、中・長尺で育った人が、『いまさらそりゃないよ』と思うのは、半面当然だと思いますよ」(用具ジャーナリスト・河北俊正氏)
日本選手の反応として、藤田寛之は「いつか(ルールに)外れるのではと思っていた」。自身が“長尺使い”でもある片山晋呉は「いずれ禁止になると思い、体につけていない」と、今季からアンカーリングはしていなかったという。
この共同提案は決定ではなく、来年2月まで広く意見を聞くとしている。すでにPGAオブアメリカ(クラブプロを束ねる組織)は異議申し立てをしていて、提案がルール化されるかどうかはきわめて流動的。まだひと波乱もふた波乱もありそうだ。
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