昨年はアコーディアとPGMという2大ゴルフ場経営会社の対立が、名門太平洋クラブをめぐる動きとも絡み合い、大きく注目された1年だった。
太平洋クラブが突如、民事再生手続きの開始を申し立てたのは昨年1月23日。会社側が立てたスポンサー候補は大量集客のイメージが定着しているアコーディア。プレー環境の悪化を懸念する会員が即座に猛反発、数日後には会員組織が立ち上がる。
そのアコーディアに大打撃を与えたのが、4月17日の“秋本会見”。アコーディアの秋本一郎専務(当時)が、同竹生道巨社長(当時)による会社資産の私的流用問題を暴露したのだ。
間髪入れずにアコーディアの大株主で、PGMの兄弟会社でもあるオリンピアが株主委員会なる組織を立ち上げ、アコーディアのコンプライアンス是正と、高値での太平洋クラブ買収の撤回を求める運動が始まる。
この動きを当然、アコーディアはPGMによるアコーディア乗っ取り工作の一貫ととらえた。アコーディア取締役からPGM社長に転じた神田有宏氏が個人的にアコーディアにPGMとの経営統合を持ちかけていたからだ。
アコーディアを牽引してきた竹生社長辞任直後の6月28日に開催された株主総会は、会社側、株主委員会双方が推薦する取締役候補を巡るプロキシーファイト(委任状争奪戦)となり、株式市場からも注目を集めるが、株主委員会が推す候補は全員“落選”。
アコーディアの総会終了を待つ形で太平洋は7月2日、予定どおりアコーディアをスポンサーとする再生計画案を提出するが会員の反発は根強く、10月3日、再生計画案は否決され、会社更生手続に移行。無事VISA太平洋マスターズも開催され、会員組織がスポンサー候補としてパチンコパーラーのマルハンを推薦。13年8月の更生計画案提出に向け、さてこれから本格的にスポンサー選定に入ろうという矢先の11月15日、アコーディアとの経営統合交渉再開を望むPGMが、アコーディア株の公開買付開始(TOB)を突然宣言する。
アコーディア経営陣は経営統合にも突然のTOB開始にも猛反発。ただ証券市場関係者は「PGMによる5割超の株獲得は確実」と見ている。
公開買付けの結果は1月18日に判明するが、PGMの目標通り5割超の応募があった場合、アコーディアはPGMの連結子会社になる。そうなると経営統合に反対する役員をクビにすることも可能。統合会社で太平洋のスポンサー候補に名乗りを上げる可能性も出てくる。今年も太平洋を挟んだ2強の動きが世間の耳目を集める。
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