昨年11月中旬からのPGMによるアコーディア株式のTOB(公開買付)は、応募が下限目標の20㌫に達せず不成立という、なんともあっけない結果に終わった。
アコーディアの株価がTOB価格の8万1000円以上になれば、株主はTOBに応募するよりも市場で株式を売却したほうがトク。もっと上がるかもしれないという期待から、市場で売らず持ち続けたりもするので、市場株価がTOB価格を上回ることが、TOB不成立の絶対条件だ。
いきなりのTOBに反発したアコーディア経営陣は、新中期計画などをテコに、TOBに応募をしないよう株主に呼びかけたが、12月3週目までアコーディアの株価は7万円台で推移していた。証券市場関係者は、TOBの成立、それも上限目標の5割超を超える応募があるだろうと確信していたのだが……。異変が起き始めたのは12月の最終週。いきなり株価が上昇を始めたのである。
その原因が判明したのが1月7日。ライブドア事件で有名になった、モノ言う株主"村上ファンド"OBが経営するファンド「レノ」が、TOB開始直後から少しずつ市場でアコーディア株を買い集めていたのだ。
年末の1週間で猛烈な勢いで一挙に買い上げて13%もの株式を保有していることが判明。1月15日にはその保有割合が18%に達していることがわかったのである。
TOB期限の17日は、正午すぎの外資系通信社によるこれら情報の報道をきっかけに株価が急騰。一気に応募キャンセルが続出して、あえなくTOBは不成立となった。ほっと一息"のアコーディアは「多くの株主の皆さまに当社の考えをご理解いただけたことを感謝し、株主価値の最大化を実現するため、これまで以上に緊張感を持って事業に邁進する」とコメント。
一方、敗れたPGMは「新たに大株主として登場したレノが、アコーディアに何を求め、それに経営陣がどう対応するのかが現状では見えないので、当面、こちらから経営統合提案はしない」と従来の方針を180度転換。
加えて、17日正午すぎに株価を大きく動かすほどの重大な報道が出た経緯に、不正がなかったかどうかの調査依頼を証券取引等監視委員会に申請した。
ゴルフ場2強のバトルは、レノというニューフェイスが割って入ったことで、新たなステージに移行したと言えるだろう。
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