ゴルフルールを統括するR&A(英国ゴルフ協会)とUSGA(米国ゴルフ協会)が提起した中・長尺パターのアンカーリング禁止案に対しての意見聴取期間が終了したが、決定までにはまだひと波乱もふた波乱もありそうなのだ。
意見は真っ二つ。R&Aの管轄、欧州男女ツアーは禁止案に賛成の意を表明しているが、USGA管轄の米男子ツアー、PGAオブアメリカ(コース所属プロなどを統括)、GCOAA(ゴルフコース所有者協会)が反対を表明。米女子ツアーはアジアにも拠点の目を向けているせいか静観の構えで、日本やアジア諸国は、決定したらそれに従うという日和見的スタンス。
その米国のなかでも、意見は選手のあいだで割れている。影響力絶大なジャック・ニクラスはアンカーリング禁止に賛成だし、タイガー・ウッズもそうだ。フィル・ミケルソンは反対の立場。現在中・長尺を使っているアーニー・エルス、キーガン・ブラッドリーはもちろん大反対である。
アンカーリングとはパターのグリップエンドを腹や胸に固定して打つことだが、ニクラス、タイガーは「クラブは手で振るもので、パターは14本のなかで一番短いのが当然」。ブラッドリーらは「アンカーリングが有利な証拠はないし、なぜ今になって禁止するのか」と主張。
「英国のゴルフ文化は精神論、伝統論が支配的で、米国のゴルフ文化は反対に娯楽論、ビジネス論が主流。一致点を見出すのは難しい。ダブルスタンダードにならなければいいですがね」と、用具ジャーナリストの河北俊正氏は案ずる。そのビジネス論の延長線か、ここ9年連続で下がり続けていたパターの売り上げが今年は上がるとの見方が有力。アンカーリング対応をにらんでのことで、すでにオッデッセイやテーラーメイドなど、アンカーリングしなくてもその効果を実現する新モデルを発表している。
日本ではアンカーリング禁止に関してはそれほど関心は高くないが、果たしてどう決着するだろうか。
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