東日本大震災から丸2年。東京電力福島第一原発の放射能汚染は、いまもなお大きな傷跡を残している。
昨年夏、ゴルフ場の利用者が減り平成23年度分の県の税収が落ち込んだことから、福島県が自治体では初めて東京電力に対して賠償請求をすることを明らかにしたが、個々のゴルフ場でも東京電力に損害賠償を求める動きが依然として続いている。
最近では、原発から30キロ圏内の鹿島CC(南相馬市)を運営する鹿島総業が、約99億円の損害賠償を求めて東京電力を東京地裁に提訴。同CCは事故後、休業を余儀なくされ、平成23年6月からは一部を仮営業しているものの、除染工事や汚染残土の保管費用として支払いを求めている。
また、いわきプレステージCC(いわき市)の従業員6人は就労不能損害と慰謝料の損害賠償を求めて、同じく東京地裁に東京電力を提訴した。同CCは営業停止状態が続いており、営業再開の目途は立っていない。東電が23年3月から翌年5月まで就労不能損害に対する金額を支払ったが「1年間で営業再開の見通しを立てたり、再就職先を探すことができるはず」として、6月以降の支払いを打ち切ったことに対し、不服を申し立てた。
一方、福島以外のゴルフ場では、地元自治体と災害時の協定を結ぶところも多い。
常総市(茨城県)は先月21日、同市内のフレンドシップCC、水海道GCと「災害時におけるゴルフ場施設の利用に関する協定」を締結。大きな災害が発生した場合、両ゴルフ場は避難スペースや食事、トイレなどの提供のほか、ヘリコプターの発着場所としても利用されることになった。こうした例は他にも阿見町(茨城県)と阿見GC、イーグルポイントCC、印南町(和歌山県)と印南CC、和歌山GC、ラ・グレースGC、胎内市(新潟県)と胎内高原GC、櫛形GC、日本海GC、中条GCなどと全国に広がっている。水海道GCは、締結について「大変意義あること。広大な敷地とクラブハウスのあるゴルフ場は緊急避難場所としてピッタリ」としている。
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