当初の予定から約2週間遅れの5月13日、太平洋クラブが会員組織『新・太平洋クラブ創る会』推薦のパチンコホール運営大手、マルハンとスポンサー契約を締結した。
昨年1月下旬の民事再生手続き開始申立から1年3カ月強。アコーディアゴルフをスポンサーとする民事再生計画案が会員によって否決され、会社更生手続きに移行するという異例の経過を辿った太平洋クラブ。今後は8月末頃までに管財人が更生計画案を作成、債権者集会の開催は今秋。ここで再生計画案が可決されれば、年内にも新太平洋クラブが誕生する。従って11月の男子トーナメント、VISAマスターズは管財人の元で開催されることになる。
今回マルハンの提供予定金は270億円で、弁済率は10%。否決された民事再生計画案の弁済率は7%だったので、それより3%高い。マルハンは3年間で17億円をかけ、グループのコース改修の実施も表明。「機械が古かったりバンカーの砂が少なかったりと、ここ数年でダウンしていたコースクオリティの回復をまずはかる」(マルハン韓裕社長)という。
今後の経営については「太平洋のスタッフが長年培ってきた現場のノウハウと、マルハンの経営ノウハウの融合で高いクオリティを実現したい。重要なのは、会社の理念をいかに経営のシステムや日々のオペレーションに浸透させ、顧客満足度につなげるか。どういうゴルフクラブを目指すのか、答えは顧客が持っている。まずは4~5人のチームで現場を回り、課題の洗い出しをする。外部の人材が必要かは課題解決のデザインを描いてみて判断する」(同社長)
パチンコホール経営とゴルフ場経営とでは、かなりかけ離れた印象があるが「弊社は飲食業も営んでおり、接客で培ったホスピタリティや店舗オペレーションのノウハウを活かせるとして、かねてからゴルフ場経営も研究対象にしていた」というから、ビジネスとしてゴルフ場経営をとらえていることは間違いない。
年会費の復活がスポンサー就任にあたってのマルハン側の条件なので、来年1月以降、太平洋クラブの会員は3万6000円、太平洋アソシエイツの会員は2万4000円の年会費を支払うことになる。新規の会員募集の復活も否定していない。
一方、マルハンのスポンサー就任は、自ら積極的に名乗りを挙げてのことではなく、『創る会』からの依頼がきっかけだ。会員重視のブランド価値向上やクラブ組織とクラブ運営の民主化、会員の権利の維持など、会員組織が求めた10の条件を受け入れているからこそ会員組織の推薦を得られている。マルハンがクオリティの維持と顧客満足度、そして経済合理性のバランスをどうとるかが注目される。
ちなみに韓社長の腕前は現在ハンディ10。社会に出るまでは野球漬けの毎日で、甲子園の決勝進出経験もある。大卒後就職した会社が地産で、最初の配属先が岡部チサンCC。ゴルフを始めたのもこの頃だが、本気になったのは「プロアマ大会に招待され、同業者の社長が皆、うまかったので負けまいと思って」とのことだったという。ゴルフに対する「熱意」とビジネスとの折り合いのつけ方にも注目したい。
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