"セイウチ"の愛称で日本でも人気のあった巨漢クレイグ・スタドラー(60)が、8年9カ月ぶりに米チャンピオンズツアーのエンコンパス選手権で優勝を飾った。今年還暦のスタドラー、いったいこの9年近く、なぜ勝てなかったの。
シニア入り直後の03年にはレギュラーツアーのBCオープンで若手を退け優勝するなど意気盛んだったスタドラーは、04年にチャンピオンズツアーで5勝を挙げ、賞金王に輝いている。
向かうところ敵なし。当時は「このままどこまで勝ち続けるのだろう?」と思われていたが、04年のSAS選手権で同ツアー8勝目を挙げて以来、ぱったりと勝ち星は途切れ、やがてすっかりその名を耳にしなくなった。
しかし、勝てなかったというだけで05年はトップ10入り14回を数え賞金ランク9位に入っているし、以降同ランク16位、32位、27位、33位、59位、72位、54位とゆるやかな下降線をたどりながらも、毎シーズン20試合前後を消化してきた。
とはいえ寄る年波には勝てず、ここ数年は110キロを超える体重を支えるのが困難になり「18ホール歩くのがしんどい。毎日ゴルフをしていたら死んでしまう」と周囲に愚痴を漏らしていたのだとか。
また10年には左股関節手術を受け、シーズン後半を棒に振っており、リハビリを経て復帰した11年はキャリアワーストの賞金ランク72位に沈んでいる。
8年9カ月ぶりの勝利は同ツアーでは最長ブランクV。
スタドラー本人は「目をつぶってエイッと打って、結果に頓着しなくなったらよくなった」と170試合ぶりの勝利を振り返る。
米ツアー未勝利の息子ケビン(欧州ツアーでは1勝)の晴れ姿をその目で見届けるまで、還暦すぎてもスタドラーは勝ちにこだわり、第一線を走り続けるつもりだという。
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