マイナビABCチャンピオンシップで、S・K・ホをプレーオフで下し優勝した池田勇太は試合後、男泣き。その涙のわけとは?
池田は今季の選手会長に立候補。これまでは推される形で就任する選手が多かったが、縮小するツアーに男・池田は黙っていられなかったのだろう。プレー面にも影響する会長職に積極的にトライした。
「選手会長というのは決まった業務があるわけではない。だからこそ活動に際限がないともいえます。池田は一途で真面目な男ですから、スポンサーを探す努力を惜しまず、夏にはスポンサーに感謝をささげたサンクスフル主催者ゴルフ懇親会をやったり、被災地を訪れたり、社会貢献も積極的に行ってきました。当然、練習時間が削られるのは必至でしょう」(JGTO広報部・田中謙治氏)。84年、選手会長制度が発足してから就任中に優勝したのは池田のほか、杉原輝雄、倉本昌弘、片山晋呉、宮本勝昌の4人だけというのが、二足の草鞋の苦労を物語っている。
池田の涙のわけは、優勝インタビューのなかにあった。
── どこで勝てると思ったか?
池田 本戦の18番でボギーパットを打つ前ごろから気持ちが吹っ切れた。だからプレーオフに入ったときには自分を客観視できていたね。この大会は苦手なほう。不安のなかでよく勝てたと思うよ。
── 今年は勝てないと思っていたと……?
池田 選手としても活躍したいという想いでスタートしたのだが、折れていく気持ちがあった。男子ゴルフ界をどうやって盛り上げられるか、何をすればいいか。会議が多くなり時間を削られた。正直いってしんどくないといったら嘘になる。でもやるといったらやるのが俺の主義だから!
── 会議の時間が多くなって肌の色も白くなりましたね。
池田 プライベートの時間もなくなり、椅子に座る時間も多くなった。背広はダブルしか持ってなかったから、営業用のシングルスーツを両手の数以上作ったよ。そんなこんなを乗り越えてと思ったら、こみ上げるものがあったわけだよ。ご褒美かもしれないね。でもこれで(フルにラウンドして)少しは黒くなったかな? もう1勝すると元の精悍な状態に戻れる(笑)。周りの者(キャディ、トレーナー、マネジャー、母親)がいちばん嬉しいだろうな。今年は弱い勇太しか見てなかったから(笑)。
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