4月から消費税が8%になることを受け、ゴルフクラブのメンバーの年会費請求で業界は混乱していたが、ようやく終息したようだ。
会員権の年会費は年額で一括領収するのが一般的。ゴルフ場運営大手のPGMとアコーディアゴルフも同様だが、領収した月だけ売上高が突出してしまうことを嫌い、経理上の都合で12分割して各月に計上している。
問題はどの月に会員に請求するかだが、4月に請求するゴルフ場は8%適用でノープロブレム。しかし、件の2社のように1月に請求するところは、1~3月は5%、4月以降は8%になるのでは? という考えも浮かんでくる。
PGMは、国税局に確認したうえで、先述の2期に分けて1月早々に会員に請求書を送付。大手のこの動きに倣い、GC成田ハイツリー(千葉)も同様にした。
片や、アコーディアも、一旦は「1~3月は5%、4~12月は8%」の通達を会員に出したのだが、その後「請求月の税率でいいのでは」という疑問が出たので、改めて国税局へ照会するため、請求書発送はストップしていた。
国税局への照会はゴルフ場経営者の団体、日本ゴルフ場事業協会も行っていたが、このほど国税局から「会員から年会費の支払いを受けるべきことが確定した時」との見解が出た。
結果、PGMは国税局が判断を変えたことに〝振り回された〟形になり、改めて5%で請求し直すことに。すでに入金した会員もいるが、超過分は返却せず、来年の年会費から差し引くとしている。
「130コースも抱えていれば、返金にかかる振込手数料だけでも大事です。その点、単独コースの成田ハイツリーなどは返金すると聞きましたよ」(小社会員権サービス・田嶋一弘)
東名CC(静岡)は5%の税率ですでに発送していた。もし4月からは8%の税率となっていたら、コース側で負担すればいいという覚悟だったという。
ともあれ、昨年末からの消費増税による年会費請求の混乱は静まった。だが、会員権業者にはまだ税に関する苦悩は続く。表記で外税にするか、内税にするかは全国の各地区、会員権取引業協同組合で違うというのだ。関東、関西では外税、中部では内税に統一。ただし、それに従わない業者でも罰則はない。
「内税のほうがいいと思いますね。外税にしたらそのぶん、会員権が値上がりした感覚になるし、どうせ3年後には総額表示になる。混乱を招くだけのような気がします」とは関東のある会員権業者。
ちなみに増税前の駆け込み需要は「売りを急ぐ」件数が多くなったことだという。
増税の波紋は止まらない。
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