週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/13・20合併号
2014/5/7更新

スコットランドの独立問題で
英国ゴルフは変わる? 変わらない?

 今年の全英オープンの舞台はイングランドのロイヤルリバプール。先日、ハイテクを駆使したギャラリーサービスの導入など新たな試みが発表され期待が高まるなか、気が早いが来年の大会に心配事が……。スコットランドの独立運動が本格化しているのだ。

 スコットランドがグレートブリテン王国に併合されてから300年以上。その間、独立運動は幾度となく繰り返されてきた。年々独立の気運が高まりを見せていたが、昨年5月に独立を呼びかける「イエス・スコットランド」が発足すると、俳優ショーン・コネリー(スコットランド出身)といった著名人が続々と支持を表明。ついに今年9月18日に独立の是非を問う住民投票が行われることとなった。

 独立が現実味を帯びてきたわけだが、ゴルファーとして気になるのは、「ゴルフ発祥の地」という英国の〝立ち位置〟。日本では「ゴルフはイギリスのスポーツ」と思われているが、世界のゴルフ事情に精通する大塚和徳氏は「ゴルフはイギリスではなく、スコットランドのスポーツ」といい、次のように説明する。

「中世に経済発展し、ヨーロッパの先進地域として繁栄していたフランドルに、ゴルフの起源となったゲームがあったとされています。その後、フランドル系の貴族がスコットランドに移住した際、そのゲームを持ち込み、現在のゴルフへと発展させました」

 大塚氏によれば、スコットランドでは15世紀半ばに既にゴルフが一般化していたのに対し、イングランドにゴルフが広まるのは19世紀後半。「歴史のある英国系ゴルフ場のほとんどが、イギリス人ではなくスコットランド人によって作られています」(同)

 では、スコットランド独立が実現するとどうなるのか。

 日本では「全英オープン」という呼称の変更を迫られるかもしれないが、実際は「何も起こらない」というのが大方の見方。軍事や外交を除き、州政府が強い権限を持つスコットランドは、サッカーやゴルフなどのスポーツもイングランドとは別々というのが一般的。世論調査でも、すでに強い自治権があり、独立する必要がないという反対派が賛成派を上回っている。さらに、スコットランドが独立し、EUに再加盟することは「極めて難しい」(欧州委員会のバローゾ委員長)という意見や「独立が決定すれば英通貨のポンドが使えなくなる」(オズボーン英財務相)という〝脅迫〟もあり、独立の可能性は低い。

 無論、やってみなければわからないのはゴルフも政治も同じ。だが、ウクライナのように対立が深刻化することだけは避け、くれぐれも紳士的に解決して欲しいものだ。

 
【関連記事】
2014/4/15 "R&A"の女性会員受け入れで全英OP開催コースへの影響は?
2008/12/9 スコットランドに大富豪トランプが一大リゾートを計画。
2007/12/18 かつての人気は?Wカップ実力者不在の中、スコットランド優勝

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト