つるやオープンで通算16勝目を挙げた藤田寛之。そのそばには〝優勝請負人〟、プロキャディの清水重憲氏(39)がいた。
最終日の17番パー5。15、16番の連続バーディで首位に並んだ藤田は、残り210ヤードの微妙なライからの2打目をUTでグリーン手前まで運ぼ池も待ち受けていた。考え込む元賞金王に、清水氏は「最後(プレーオフ)に楽しみはとっておきましょう」とささやき、刻むことを進言した。
「その瞬間、いろいろ頭によぎったんです。藤田プロは18番が得意で3日目まで2バーディを取っていたこと。プレーオフになっても、首位だったパク・サンヒュンは50分も先にホールアウトしていてミスする可能性が高いこと。(田中)秀道プロのバッグを担いでいた00年大会で2オンしたけど3パットして、結局プレーオフで負けたこと」。冷静な洞察力と経験で導き出した答えが「刻み」で、初コンビで即優勝の結果を出した。
プロキャディの仕事は厳しい世界。収入はプロの成績によって変動し、10位以内なら賞金の7%、優勝なら10%が相場と言われる。今年で18年目になる清水氏は、07年には谷口徹と上田桃子の男女賞金王のバッグを担いだ。つるやの前週は、女子のイ・ボミとのタッグでKKT杯バンテリンに参戦し、アマの勝みなみに敗れたものの2位で〝優勝賞金〟を2週連続でゲット。今回の藤田で、男女計8人を勝利に導いたことになり、通算優勝サポート回数も21回。これだけ多くのプロと勝利の美酒を味わったキャディはそうはいない。
今季はイ・ボミを中心にバッグを担ぐが、関西オープンと日本オープンでは再び藤田とコンビを組む予定。07年以来の〝男女賞金王キャディ〟の偉業達成もあり得るかも。
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