プロがこんなことも知らなかったの? というルール上の椿事が中京ブリヂストンで起こっていた。
中村香織
最終日の決勝ラウンドを終えた中村香織がゴルフ規則28「アンプレヤブルの球」及び20-7「誤所からのプレー」に抵触し、失格となった。
処罰の対象になったのは前日の8番ホール、パー4。中村のボールはバンカーのアゴに突き刺さってしまった。このままでは打てないと、中村はアンプレヤブルを宣言〈ボールのあった位置からピンを結んだ後方にドロップ〉してプレーを続けホールアウト。最終日もなんの疑いももたず、ラウンドを終えた。
疑いをもったのは2日目に中村のプレーを見ていたギャラリー。25日になって「アンプレヤブルの処置が間違っているのでは?」との連絡が日本女子プロゴルフ協会(LPGA)に入り、競技委員が中村本人に確認した結果、違反が発覚した次第だ。
バンカーでのアンプレヤブルの処置は左上図で説明しているように3つある。中村はそのうちの1つ、「ピンとボールを結んだ延長線上後方にドロップ」を選んだのだが、バンカー外にドロップしてしまった。バンカーでの〝後方〟というのは、バンカー内であるという制限を知らなかったのであろう。
中村の弁明は「バンカー内でアンプレヤブルをしたのは競技人生で初めて。処置は知っていたが忘れていました。すべて私の責任。本当に申し訳ありません」とコメント。
それにしても、同伴競技者はどうした? マーカーもいるはずだが?
マーカーを務めたのは豊永志帆。「みんな間違えていました。アンプレの処置ルールはもちろん頭にあったんですけど、バンカー内っていうと、処置が違うことが頭から抜け落ちていました……」
もう1人の同伴競技者は馬場ゆかり。「冷静になれば難しい問題ではなかったと思うのですが、みんなちょっと考えすぎちゃって逆に判断を誤ったというか……。選手もルールについて勉強しているんですが、判断に迷うことはあります。そういう時は競技委員を呼んで判断してもらうんですが、なるべく競技委員に頼るんではなく、できる範囲は自分たちで解決すべきという思いもあって……」
ルール研究家・石井米二郎氏は、「アマレベルでも難しくない処置なのに、もしギャラリーからの告発がなければ発覚しなかったことを考えると、見えないところでは何が起こっているか疑心暗鬼にならざるを得ませんね」と手厳しい。だが、そう思われても致し方ないミスであるのも事実。
LPGAでは「今後の万が一を防ぐために、ルールの講習会を考えています」という。また、選手をまとめるミーティング委員長でもある馬場は、「最近はルールミスがちょこちょこ出てしまっているので選手も責任を感じており、自発的にルールに関するセミナーを開催しています。今年もスタジオアリスの週にやりました」(馬場)というように、ルールへの危機意識がまったくないわけではないようだが……。
技術だけでなく、ルールでも〝プロ〟になってもらいたい。
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