全英オープンの決勝ラウンド、タイガーをはじめ多くの選手たちが喪章(黒リボン)をつけてプレーした。大会2日目に82歳でこの世を去った名伯楽ボブ・トーランス氏の死を悼んでのことだった。
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本誌で「ボブ爺が教えてくれる。」を09年1月~7月連載した
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息子サム・トーランスを欧州ツアー21勝のトッププロに育て上げ、教え子にはメジャー3勝のパドレイグ・ハリントン、全英オープンチャンピン、ダレン・クラーク、ライダーカップキャプテンのポール・マクギンリーらそうそうたる面々が名を連ねる。
「僕にとってミスター・トーランスは父親のような存在。教えを乞う者は拒まず、最良の上達のヒントを授けた。ゴルフ界は哀しみに暮れている」と悲痛な表情で語ったハリントン。亡くなる数週間前、ガンで闘病中の翁の元を訪れ死期が近いことを知ったのだという。
タイガーはいう。「生前よくゴルフ談義をさせてもらった。素晴らしいコーチだった」。他にも好々爺を偲ぶプロは多く、L・ドナルド、S・ガルシア、I・ポールターらが、故人の功績を称え、その死を惜しむコメントをツイッターに寄せている。
なぜそれほどトーランス氏は慕われたのか? ベン・ホーガンに傾倒し20歳でプロになった彼は選手としては大成しなかったものの、持ち前の鋭い観察眼を活かしプロコーチの草分け的存在に。ゴルフ発祥の地のコーチらしいハンチング姿が印象的で、正直で真っすぐ、やさしい性格は誰にでも好かれた。
「真のジェントルマンだった」というドナルドの言葉が故人の生き様を表している。
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