民主党政権の2011年に始まった、再生可能エネルギーの固定価格買取制度。当初は東日本大震災の影響で閉鎖、営業停止を余儀なくなれた東北、北関東のゴルフ場でメガソーラー建設が目立った。だが、ここ数年はそうした動きが全国的に広がり、計画も含め実に全国で100カ所(『ゴルフ特信』調べ)にのぼる。
都道府県別では、栃木17、茨城11、群馬9、福島8、三重5、岡山・鹿児島が5カ所となっている。100カ所のうち既設ゴルフ場を全面閉鎖し、事業転換を図ったコースは実に39カ所にのぼる。
もっともすでに送電を行っているのは36カ所で、半数以上は今後、工事を着工する計画段階。だが、ここにきて計画に暗雲が立ち込めている。
というのも昨年夏に九州、沖縄電力が電力の買取を中断したのを皮切りに、秋になって北海道、東北、関西、四国電力が相次いで買取の中断、制限の方針を打ち出した。これに呼応するように、所轄官庁である経済産業省は、制度そのものを見直すことを表明している。
このような事態に陥った最大の原因は、見通しの甘さという以外にはない。実際、固定価格で買い取った電力が7000万キロワットを越え、さらに「国が買い取ってくれるリスクのないビジネス」(某経済アナリスト)との認識から、申請が相次いだからである。これに電力会社が悲鳴を上げ、また太陽光発電の不安定さも指摘されることになる。
さて、すでに送電を始めているゴルフ場はともかく、計画中のゴルフ場はどうなるのか? 実際、新潟サンライズCCなどは遊休地でメガソーラー建設を計画していたが、採算があわないとして計画を見送ったケースもある。
だが遊休地ならともかく、メガソーラー計画のために一度は閉鎖してしまったゴルフ場は、こちらの再生は効かないという現実。わずか数カ月でコースは荒れ野原と化してしまう。今後、計画の頓挫、中断が数多く予想され、放置されたゴルフ場が環境問題にまで発展するのではないかとの懸念の声も聞かれる。
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