11年の男子ツアー賞金王で、米ツアー通算2勝を挙げているベ・サンムン(28)が、活動休止と母国追放のピンチに立たされている。ネックとなっているのは、韓国の複雑な徴兵問題だ。
そもそも韓国では、成人男子に約2年間の兵役の義務が課せられている。原則的には満30歳の誕生日を迎える日までに入隊することが義務づけられているが、28歳前後がタイムリミットとなるケースが多い。最近では87年7月生まれのI・H・ホ(ホ・インフェ)の入隊が記憶に新しいところだろう。
また、外国で永住権を得て当該国に1年以上居住していれば"国外旅行許可"が下りて、入隊時期を延長することも可能。10年に日本、12年からアメリカを主戦場にしてきたベ・サンムンは成均館大学に籍を置くことで入営を延期し、13年1月にはアメリカの永住権も取得。国外旅行許可も得て選手生活に専念してきたが、もはや兵役先延ばしが難しくなってきた。
というのも、国外旅行許可の3年延長を申請していたが、昨年末に韓国の兵務庁がベ・サンムンの申請を却下。韓国の兵役法では、1年のうち6カ月以上韓国に滞在したり、3カ月連続して韓国に滞在した場合は国内居住者と見なされ国外旅行許可の取得も難しくなるが、兵務庁はベ・サンムンが永住権取得後も133日間韓国に滞在したことや韓国国内でも所得を得たことなどを理由に彼の申請を却下したという。国外旅行許可の延期が下りなければ韓国に戻らねばならず、満28歳を過ぎたベは(86年6月21日生まれ)、もはや入隊手続きを始めなければならないというわけだ。
ただ、2年間の兵役に服すことになれば米ツアー出場はもちろん、今年10月に韓国で開催されるプレジデンツカップやベが目標にしてきた16年リオ五輪出場も難しくなる。韓国籍を放棄してアメリカで選手生活を続けることも可能だが、"裏切り者"のレッテルが付いて回るだけでは済まされない。
00年代前半に兵役回避のために韓国籍を放棄した人気歌手ユ・スンジュンのように、入国禁止名簿にリストアップされてしまう可能性もある。
果たしてベ・サンムンはどんな決断を下すのか。その決断に、韓国はもろちん、日本のゴルフファンも気になるところだ。
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