1月19日、京葉カントリー倶楽部で自動操縦、無人飛行のヘリコプターによるAED(自動体外式除細動器)の搬送実験が行われた。
発案したのは慶應大学医学部4年の石橋吉基さん。航空宇宙工学研究の第一人者である、東京大学大学院の鈴木真二教授の協力を得て行われたものだ。ゴルフはやらないという石橋さん。今回、ゴルフ場を会場に選んだのは、ヘリを飛ばせる広大な私有地があることだったが、「心停止は運動中のリスクが高いこと。またゴルフ場は救急車の到着に時間のかかる山間地に多い。またゴルフ場そのものが広大な面積で、AEDの設置場所と事故現場の距離もあります。それだけに今回の実験の成功の意味は大きいと思います」
心停止から1分経つごとに、生存率は10%ずつ下がると言われている。通報から救急車の到着時間は平均8分。そこから心臓マッサージなどを施しても、生存率はわずかに20%。市街地から遠くにあるゴルフ場では、救急車の到着までさらに時間がかかるケースが多い。そこでAEDの登場となるわけだが、石橋氏が指摘するようにゴルフ場の面積は広大だ。
今回、実験場所を提供した京葉CCの有江豊支配人は、「カートに1台ずつ搭載するのが理想でしょうが、クラブハウスとコース売店に設置するのがせいぜいです。うちは開場50年で木も高いのですが、20メートル以上を楽々と越えていきました。現場まで一直線の最短距離で行けるゴルフ場での活用は十分ありです」
ゴルフ場ではティグラウンドとグリーン上での事故が多い。10年には兵庫の有馬CCで心停止で倒れた73歳の男性が、AEDを持ち寄った2人の従業員の救命活動により一命を取りとめた例もある。ちなみに1日約200人、年間約3万人が心臓突然死により命を落としている。それだけに今回の実験の成功は、ゴルフ場に限らず大きな期待がかかる。
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