「震災に節目はない」と一喝、古市忠夫が想う20年
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2015/2/17号
2015/2/10更新

「震災に節目はない」と一喝
古市忠夫が想う20年

 阪神・淡路大震災から今年で20 年目を迎えたが、震災をテコにして60歳でプロ入り、「還暦ルーキー」と騒がれた古市忠夫は、今何を思うだろうか。

 古市は神戸で生まれ、立命館大学を卒業したあとは長田区でカメラ店を経営。震災にあったのは1995年、55歳の時で店舗は全焼した。

 自治会会長や消防団団長として復興に力を尽くすなか、唯一被災を免れたマイカーのトランクからこれまた唯一の趣味であるゴルフバッグが無傷で発見されたのだ。これを神の啓示と受け取った古市はプロをめざす。それも自治会会長、消防団団長の活動は引き続き行い、復興へ奔走する間、クラブを握るだけの5年間でプロテストに、2位の好成績で合格したのである。

「感謝の気持ちが心身を強くする」が古市の信条で、ラウンドする前と終了後にコースに向かって深くお辞儀をするのは現在も続いている。

 その古市に震災20周年の感想を訊くと──。少し気色ばんで、「20周年とか節目とかいうのはマスコミがつくる見出しで、住民達の日頃の防災活動が大事なんです。私たちは毎月1回、消防団で防災活動し、個人的には毎朝、道の掃き掃除しています。こういう行動が防災意識の継続を生むという考えからです。しかし30~40歳台の若い人たちの関心が薄くて、消防活動などなかなか集まらない。教育が大事なので教師たちに呼びかけて、警察などで講演もやっています」と古市は話す。

 被災した家屋も3年後に建ち並んだのは古市たち住民の一致団結したおかげである。それが「喉元過ぎれば熱さ忘れて……」と古市は嘆く。

 ゴルフのほうは加齢するに従って強くなるようだ。60歳でプロになって10勝。そのうち日本グランドシニア、ゴールドシニア、関西グランドシニア、ゴールドシニアなど6勝を挙げている。股関節、腰、指、肩などの大怪我を克服してである。

「フィジカルトレは一切やっていません。鍛えるは病めるに通ずる。予防医学を勉強して、メンタルトレ、ストレッチは念入りにやっています。1日2食にして腹八分が健康の秘訣と思っております」(同)

 今後の目標は何かと問うと──。

「80歳で輝いていたい。その年齢に達する時、ちょうど東京オリンピックの次の年、2021年に関西ワールドマスターズゲームズがあるので、そこでの金メダルが目標です」

 老いてますます盛ん、という言葉は古市のためにあるようだ。

 
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