先のホンダクラシックでパドレイグ・ハリントンが08年の全米プロゴルフ選手権以来、およそ6年半ぶりの復活優勝を遂げた。メジャー3勝のベテランは「勝てなかった日々はイップスとの戦いの日々でもあった」と告白した。
ショートパットを目の前にすると電気が走って手が動かなくなったのは12年のこと。
「それまでの自分は自分に対する期待値が高すぎたんです。絶対に入れなきゃいけない、と思っているうちに手が動かなくなった」
悩む彼を見かねた妻が夫の背中を押した。「ベルンハルトに相談してみたら?」
ベルンハルトとは3度のイップスを克服しマスターズ2勝を挙げたランガーのこと。3年前のマスターズのときハリントンは意を決してアドバイスを乞うた。
大先輩が伝授したポイントは以下の3ポイント。「グリップを変えること。祈ること。そして忍耐強く粘ること」
早速グリップを変えたハリントンは、"イップス"という表現を極力使わないように努めたという。
「極度の緊張は恐怖心やストレスやこれから起こる未来のことに対する漠然とした不安を引き起こす。それを自分のせいにせず、なにか幽霊かお化けが自分に取り憑いて、ビクビクを押し付けているんだ、と思うようにした」
ランガーのアドバイスに従っていろいろなグリップを試し、さまざまなパターを試すことで徐々にストレスなくパットを打っている自分に気づく。
平行してスポーツ心理学者のボブ・ロッテラ氏とのカウンセリングにも時間を割きつつ、徐々に「ミスパットを受け入れられるようになった」とハリントン。
じつはミスを受け入れられず、すべてのパットを決めなければ気が済まない完璧主義がイップスの原因だったのだ。
ハリントンはツアーでも明るい性格が有名で楽観的な人物という定評がある。それゆえイップスに苦しんでいた1年半、気づいた人はほとんどいなかった。
「誰にも気づかれなかったことが僕の誇りです」
あるがままを受け入れ、自分に対してプレッシャーをかけ過ぎない。それが40歳を過ぎてハリントンが学んだ教訓だった。
大らかなメンタルを武器に、43歳になったハリントンはホンダクラシックで、21歳の新鋭ダニエル・バーガーとのプレーオフを制し優勝を飾った。
「以前はすべての試合に勝ちたいと思っていた。でもひとりの選手が勝てる回数なんてたかが知れている。滅多に勝てないんだから、勝ったときは大いに喜ばなきゃ。この勝利が今後の自分のキャリアにどんな影響をもたらすか、すごく楽しみ!」
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