ウォーミングアップ法として一般的に行われているストレッチ。だがここ数年、運動前の静的ストレッチがパフォーマンスを低下させる、といった実験報告が科学界から起きている。では、スタート前にどんなストレッチをすればいいの?
成田美寿々もしっかり伸ばす静的ストレッチは短め
静的(スタティック)ストレッチとは、関節の筋肉を動かして目的の筋肉をゆっくりと伸ばし、その姿勢を数秒から数十秒間維持するもの。ちなみにこれに対し、関節の曲げ伸ばしや回旋などの動きによって筋肉を伸ばすのを動的(ダイナミック)ストレッチという。いわゆるラジオ体操のような動きだ。
ある論文によれば、静的ストレッチは最大筋力を5・4%、筋パワーを1・9%、ジャンプやスプリントなどの瞬発的筋パフォーマンスを2・0%低下させるという。実験では年齢、性別、トレーニングレベルに関係なく見られる傾向だそうだ。これについて専門家はどう見るのか?
「こうした学術論文は特化した事象にスポットを当て、注目されるような極端な結論を前面に出すので、"ストレッチが悪い"という捉え方をするには危険」というのは、成田美寿々プロなど数多くのプロスポーツ選手のトレーナーを務める安福一貴氏だ。
「実際にジョグや縄跳びなどで体を温めた後、またメディシンボールなどを使った動的ストレッチとともに、静的ストレッチも取り入れています。実際、メジャーリーグではウォーミングアップの締めくくりに静的ストレッチをやる選手は多いです。ただ時間にするとせいぜい2~3分でしょう。そんなに長くはやりません」(安福氏)
体が温まっていない筋肉が硬い状態や、気合いが入り過ぎてのあまりに長時間のストレッチは、パフォーマンスを落とすどころか、かえってケガにもつながりかねない。
スタート前に、ストレッチはやり過ぎもダメ。ただ、静的ストレッチではなく、ラジオ体操のような準備運動をまずすることが大切のようだ。
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