タイガー・ウッズを生む土壌を確立したというべき存在の黒人ゴルファー、カルビン・ピートが死去した。
82年のダンロップフェニックスで優勝
ピートといえば、80年代、正確無比なショットで、米ツアーで12勝を挙げた。10年間、フェアウェイキープ率1位を独占したショットの正確さは、実はやや曲がった左腕にあった。季節労働者の極貧の家庭に生まれたピートは、子どもの頃、左腕を骨折したが、病院に行けずギプスもはめず治したため、左腕は曲がったまま。しかし、23歳と遅くにゴルフを始めたピートにはこれが幸いした。トップも自然に固定され、ダウンでの左ひじの動きにムダがなかった。またインパクトからリストをターンできないため、飛距離こそ出なかったが、ピンポイントでターゲットを狙うスウィングを作りあげる要因となった(パーオン率1位は5年間)。日本での杉原輝雄にそっくりだった。
「ちょっと残念なことはメジャーでの活躍が少なかったこと。しかし、現在のタイガー・ウッズは彼の活躍なしには生まれてなかったかも……。アメリカンドリームの体現者でした」(テレビ解説者・岩田禎夫氏)
今年2月に亡くなったチャーリー・シフォードが黒人への道を拓いた魁(さきがけ)とするなら、初めてマスターズに出場したリー・エルダー、そして戦績ならこのピートの活躍があったからこそタイガーへとつながっていったと、岩田氏は分析する。
まだ71歳。米ツアーコミッショナー、ティム・フィンチェムは「永遠に偉大な王者として記憶されよう」と弔辞を送った。合掌。
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