日本のコース設計の祖、チャールズ・ヒュー・アリソンの"行方不明"とされていた「設計図」(東京GC朝霞C)が発見された。
実物大コピーは小社刊『チョイス』誌2015夏号(発売中)に掲載
「設計図」は36年前、ゴルフ史家、摂津茂和氏の尽力でJGAゴルフミュージアムが廣野GCに開館した際、1、2番ホールだけが額装され陳列された。3~18番は紛失したと思われていた。昨年秋、埼玉県朝霞市立博物館で「東京GC朝霞コースの歴史展示会」を開催するため、JGAミュージアム参与、武居振一氏と博物館学芸員の2人が、廣野で展示されている以外のものはないかと、物置小屋に入って偶然に発見した。
「古ぼけた筒を開けた瞬間、アリソンだとわかりました。体に戦慄が走りました。灯台もと暗しですね」(武居氏)
アリソン(1882~1952年)はオックスフォード大学で造園学を学び、庭園設計からコース設計へと転向。東京GCの招しょうへい聘で、1930(昭和5)年に来日。わずか2カ月間の滞在で、東京GC朝霞C、藤沢CC、川奈ホテル富士Cを設計し、また霞ヶ関CC東C、鳴尾GCなどの改造にもかかわった。日本のゴルフコース設計の基礎をつくったといわれるゆえんだ。東京GC朝霞Cの設計図は帝国ホテルに10日間ほどこもって書き上げられた。当時、コース設計は現場での判断で、造成されていたが、初めて設計図が作られたことになる。
ゴルフ史家の大塚和徳氏も興奮を隠さない。「見ていちばんに感じるのは、文字も線も美しいということ。当時、教養はハンドライティングに現れるというのが常識でしたが、アリソンの深い教養がうかがわれます」(大塚氏)
バンカー、グリーンの勾配など造成の具体的な図示もして、シェイパー(造形職人)に伝えている。今回、発見された設計図は1、2番と同じく額装されて廣野に陳列される予定だ。
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