今年のキャディ・オブ・ザ・イヤーを選ぶとしたら、誰だろうか? 選手の成績からみれば、間違いなくジョーダン・スピースのキャディ、マイケル・グレラーだろうが、"選手との絆"という点で考えると、全米プロに勝ったジェィソン・デイ(27)のキャディ、コリン・スワットン(46)が浮上してくる。
何しろ、デイによれば「スワットンは私が12歳の時からずっとそばにいてくれている。12歳で酒を飲み、悪い道に足を踏み入れ始めていた子どもだった私を、メジャーの優勝者にまで導いてくれた。私にとって、彼は世界のすべてだったし、彼を死ぬまで愛し続けるよ」といわしめるほどなのだ。
デイは12歳で父親を胃ガンで無くし、家庭の貧しさも手伝って、喧嘩や酒に明け暮れていたという。このままでは、息子がダメになると心配した母親が、ゴルフや他のスポーツで知られたクーラルビンという全寮制の学校に金を借りて、"押し込んだ"のだ。アダム・スコットも卒業生の一人だという、その学校のゴルフコーチが、スワットンだったのだ。
そこでスワットンからゴルフの技術とともに生活態度などを学んだデイは、ゴルフに熱中し、スワットンがヒルズ・インターナショナル・カレッジに移ると、彼を慕って歩みを共にした。それから、デイがオーストラリアのトップアマになるのには、さほど時間がかからなかった。
つまり、スワットンは、単なるキャディではなく、コーチであり、人生の師、父親代わりでもあるのだ。これほど感情的にも、結びついた師弟関係は、非常に稀だろう。
「18番グリーンに立って、彼とともにあの瞬間を共有できたことを、こんなに誇りに思えることはない。彼はこれからも成長を続け、より良くなるだろう」と語るスワットン、彼にとっては、キャディ・オブ・ザ・イヤーといった賞より、デイの成長のほうが、嬉しいのかもしれない。
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