丸山茂樹のホームコースとして知られる栃木のファイブエイトGC(以下58)が、今年いっぱいでクラブを解散、営業も終了することが明らかになった。
ジュニア大会の開催、ジュニア料金の無料化、バイオマス資源の利用、ゴルフ場施設内での無農薬野菜の栽培など、さまざまな取り組みで知られる58。閉鎖の理由は原発事故の影響だ。風評被害に加え東京電力からの賠償もわずか1年で打ち切られた。
小森寿久社長によれば、「突然の電話1本で、来場者数が回復したとの理由で一方的に賠償打ち切りを宣告された」という。ちなみに58は東日本大震災の2日後から被災者への大浴場の開放と給水支援、そして義損金を集めるためのプレーフィ無料のチャリティコンペを何度も企画してきた。「その来場者まで、回復の数字にカウントされている」(小森社長)と苦笑する。
賠償の金額は不明だが、いわきプレステージCCでは、13万㎡の芝の張り替え費用を請求したところ、東電から13万円と通告された。ちなみに専門家の見積額は19億円。これがマスコミで報じられると東電も計算ミスを理由に引き上げたが、「賠償金は雀の涙だし、なにより数字も一方的でその根拠も不透明」とは、匿名を条件に語る福島県内のゴルフ場関係者だ。しかもその雀の涙の賠償金も、来年度で打ち切られる予定だとか。
58は会員に対し、240~290万円の預託金を全額返還。プレー権は大田原市のニュー・セントアンドリュースGC・ジャパン(以下NSAJ)が引き継ぎ、NSAJが募集している正会員60万円(入会金30万円、預託金30万円)のうち、入会金を58が全額負担する。その原資はゴルフ場用地を活用したメガソーラーやバイオマス、無農薬野菜など別の事業によるものだ。「会員の権利と40数名いる従業員の生活を守るのが経営者の責任です」(小森社長)
ゴルフ場が倒産や閉鎖する際、怨嗟の声が聞かれるものだが、58については惜しむ声が大きい理由であろう。消えるには惜しいゴルフ場である。
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