世界中の懸案であるスロープレー撲滅は果たしてなるかどうか……。
このほど世界ゴルフの総本山、R&A(ロイヤル・アンド・エイシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース)で行われたゴルフ産業会議の一環として、スロープレー対策も討議された。これはR&Aが昨年から今年にかけて127カ国、5万6000人を対象にプレー時間を調査、その結果からスロープレー改善法を導き出そうというものだ。
「スロープレーにより、多くの人がゴルフに参加する障害となっている。アマのプレーの実態、世界のトーナメントのテレビ中継現場の声などを聞いてプレー時間の短縮に努めていきたい」(R&Aのトップに新就任したマーチン・スランバー)
R&Aがこの問題を本気で考え出したのは1991年、セントアンドリュース・オールドコースで行われた全英オープン。全組に競技委員をはりつけ、プレー時間をチェックすることにしたのだ。R&Aだけでは競技委員の数が足りずに世界のゴルフ団体に呼びかけた。JGAの川田太三氏もその1人だった。
「1ホール13分半でまわるのをチェックするということ。1ラウンド4時間強。実験的でした。しかし、ホールの長さ、天候に左右されるなどでその基準は紆余曲折を経て『打つ準備を始めて1人目は50秒、2人目が40秒、前の組と1ホール空けたらスロープレー』となった。しかしあくまで目安で、抜本的な防止法にはなっていません」(川田氏)
さらに、メジャーなどの試合では、ボール、用具の進化により、名門コースも距離を無理して長く改造している。ホール間の歩く距離もそれだけ増えるのも確か。
有識者の間で「プロの試合と一般アマで区別しては」の意見もたびたび出たそうだが、R&Aは「ユニルール=ゴルフのルールは1つ」の精神は崩そうとしない。
「この問題は出場選手全員が意識しなければ果たせません。1組目に遅い選手が出ると遅れっぱなしになるし、1組空くというチェックも不可能。それに欧米の選手は持ち時間を"権利"と考える人が多く、遅い人に合わせてしまう傾向がある。その点、日本人はスロープレーは"悪"として、理解してくれる人が多い」(同)
R&Aは妙手を打てるか。
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