ルール改訂で今年からパッティングの際に、グリップエンドを体に固定するアンカリングが禁止になった。イップスに悩む選手には最後の拠りどころだったが、どう対応するのだろうか。
対応に苦心するヨコシンと、ノーマルパターにチェンジしたスコット
13年にR&AとUSGAがアンカリング禁止の方針を打ち出し、16年1月から実施すると発表したときには、全米プロ優勝者のキーガン・ブラッドリーや全米オープン優勝者のウェブ・シンプソンなど長尺パターを使う選手たちは「訴訟を起こす」と猛烈に反発したものだ。パターに悩む人にとっては選手生命にかかわる大問題だからだ。
しかし、R&AとUSGAが決めたことは、世界中のゴルファーに対するゼネラルルール。ブラッドリーもシンプソンも、そしてアンカリングをしていたすべての選手は、改訂を見据えて、すでに様々な取り組みに着手。シンプソンは14年のダンロップフェニックスでプロ入り以来初めてノーマルサイズのパターを使ったが、初日に自身ベストとなる23パットを出し「すごくいいスタートだった」。また長尺パターでマスターズを制したアダム・スコットも昨年の日本オープンではノーマルパターを使用して「フィーリングはいい」と言っていた。
長尺パターでツアー4勝を挙げて来た吉田弓美子は、ノーマルパターを使うことを「プロゴルファーとして振り出しに戻る感じ」と語っていたが、昨年の中京TVブリヂストンで、アンカリングせずに5勝目を飾った。
一方、今シーズンも長尺を使い続ける選手もいる。
「禁止されたのは長尺パターではなくて、体に固定する打ち方です」と言うのは横田真一だ。横田は短いパターも試してみたが、やはりしっくりしない。「いろいろ試してみたんですが、体からグリップエンドを5センチぐらい離すのが一番いいみたいなんです。ただ5センチだと、ウェアに触ってしまうので、怪しく見られてしまいそうで、後ろ指を指されるのが心配です……」と横田。ゴルフは選手自身が審判のスポーツだが、「違反をしている」と囁かれるのは気持ちいいものではない。それが横田の悩みなのだそうだ。
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