アンカリング禁止のルールが実施となった今年、長尺パターに頼っていた選手は「もう勝てない」と噂されたり、選手本人も「もう終わりだ」と弱音を吐いたりしていたものだが、新ルールを克服して、勝ち星を挙げる選手も出てきた。
中尺パターを新相棒にした大江
最初に勝ち名乗りを上げたのは、2月に行われた米シニアツアーのチャブクラシックでのベルンハルト・ランガーだ。58歳のランガーは17年間も長尺パターを愛用。そして、今回の優勝でも手にしていたのは長尺パターだ。ただし、グリップエンドは胸に固定せず、ルールに適合する打ち方だった。そこには並々ならぬ試行錯誤があったようだ。PGAツアーのレポートによれば、1月中にランガーは、15機種のパターで4つフォームを試したという。
2番手は、ホンダクラシック、キャデラック選手権と2週連続優勝を果たしたアダム・スコット。スコットは、ノーマルサイズのパターで、左手を支点にして、右手は添えるだけという、いわゆるクローグリップで復活を遂げた。
日本では、Tポイントレディスで大江香織が優勝。大江は10代後半にイップスに悩み、以来長尺パターを使い、12年にフジサンケイレディスでツアー初優勝を果たした。しかし、13年に16年からアンカリング禁止が実施されると聞いたときには、「私はもう終わりだ」と思ったという。それから用具と打ち方の両方で試行錯誤した大江は、今シーズンに入ってもまだ決め手が見つからず、開幕戦では長さ25インチとまるでおもちゃのようなパターまで練習していた。そして大江がTポイントレディスで手にしたのは35インチの中尺パターだった。
左手でグリップエンドを握り、右手でストロークするのは長尺パターとほぼ同じスタイルだ。
"脱アンカリング"でも、ランガーの長尺、スコットのノーマル、大江の中尺とさまざまな対処方法があるということなのだろう。
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