4月14日から熊本や大分で発生した地震により、ゴルフ界も大きな影響を受けている。コースの状況について調べた。
プロの世界でも支援の輪。松山英樹と香妻琴乃のチャリティサイン会が実施された
まず、女子ツアーが開催予定だった熊本空港CC(菊陽町)に4月20日に電話取材したところ「コースはさほど被害はないのですが、営業の予定はまだ。できるだけ早くオープンしたいのですが……」とのこと。くまもと中央CC(菊池市)は、15日午後の時点でフェイスブック上に「コースにおける被災はありません」と知らせていたものの、その後、深夜と未明の地震でハウス内にかなりの被害が出たという。20日は電話は通じたが、営業をしていない旨のアナウンスが流れるのみだった。
14日の地震の震源に近い、熊本益城CC(益城町)はホームページ上で「再開できるよう準備を進めております」と伝えていたが、20日の電話では、呼び出し音は鳴るものの誰も出なかった。
男子の開幕戦、東建では、解説で訪れていた石川遼もチャリティサイン会に参加。熊本・益城町出身の永野竜太郎も気丈に応えた
阿蘇方面では、熊本阿蘇CC湯の谷C(南阿蘇村)、あつまる阿蘇赤水GC(阿蘇市)に、4月20日に電話をしたが、やはり呼び出し音は鳴るものの出る人はなく、阿蘇東急GC(南阿蘇村)はホームページ上で「営業再開は未定」と情報を掲載するも、20日は電話もつながらなかった。阿蘇大津GC(大津町)は、運営会社のOGMに話を聞いたところ、「しばらくは営業を見合わせ、再開の見通しは立っていません」とのこと。
「ハウスは無事で停電も復旧しましたが、スタッフたちも被災者なので……。ただ、コースメンテは続けなければいけませんし……」と苦悩する。今後は、大分や佐賀のコースから物資や人的支援を予定しているという。
宇土市のチェリーG宇土Cでは、16日の揺れのほうで被害が大きかった。同コースの桑原政治さんによると「クラブハウスの天井が一部落ち、コースに何カ所か亀裂が入っています。フェアウェイ復旧のため、管理部門が総出で水道管の復旧に当たっています。24日の開業を目指していますが、余震もあるので……。ゴールデンウィークまでにはなんとか再開したい」とのこと。一方、桑原さんは「自宅は隣の宇城市ですが、瓦が落ち、壁にひびが入っています。余震も続いており、安心できないので夜は畑のビニールハウスにブルーシートを敷き、その上に布団を敷いて寝ています」。キャンセル対応などもあり、出勤しないわけにはいかないという。
運営会社のPGMでは「お客さまの安全を第一に考え、御船町のチサンCC御船と宇城市のワールドCCをしばらくの間クローズします」という。さらに、「早く営業を再開するよりも従業員の生活を守ることが大切」とし、現場を守る支配人や従業員の負担を軽減しようと「東日本大震災時に東北で現場指揮を執っていた責任者を本日(19日)熊本入りさせました」という。
一方、コースに被害はなく、通常営業を続けているコースはキャンセルに頭を悩ませている。折しも、ゴールデンウィークを控えたベストシーズン。玉名市の玉名CCの久賀慎也支配人によると「被害はなかったのですが、すでに4~6月の3カ月で、300組の予約がキャンセルになりました」という。「コースは万全のメンテナンスを続けていますので、落ち着いたらぜひご来場いただきたい」と力を込める。人吉市にある球磨CCも「企業コンペがほとんどキャンセルになるなど、集客面で大きな影響を受けている」(右田明宜支配人)とのこと。久住高原GCのように、「コースに影響は少なくプレーに支障はないが、熊本方面からの道路が不通なのでキャンセルがかなり出ている」と、アクセス面での問題を抱えるコースも少なくない。
しかしながら、玉名CCや鹿央GC(山鹿市)では風呂を開放したり、司ロイヤルGC(玉名市)でも飲み水を分けたり、前述のチサンCC御船などのような県外からの人的支援も広がりつつある。
ゴルファーの絆と力を見せるときなのかもしれない。
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