タイゴルファーが世界のツアーを席巻しているのは139頁でも紹介しているが、日本でトップアマとして活躍しているタイ出身の選手もいる。日本社会人選手権に出場するトゥラティムッティ・カーンさん(31)に意外な経歴と、タイの強さについて聞いてみた。
13歳でゴルフを始め、高校まではタイでジュニアゴルファーとしてプレー、イギリスの大学を経て、東大大学院でゴルフを再開、社会人になりトップアマとして活躍するカーンさん。タイゴルフの躍進の理由について「コーチングやテクノロジーの進歩があります。スウィングをアイフォンなどですぐにチェックできるようになり、技術を向上しやすくなった。ジュニア強化のプログラムも充実し、試合数も増えました」 カーンさんがジュニアゴルファーだったころは大会も少なく、レベルも「2日間パープレーで回れば優勝できていた。今はアンダーを出さないと勝てませんね」 タイでのゴルフ熱の盛り上がりには、根底にタイガー・ウッズの存在があるという。「お母さんがタイ人ということから、親しみもあって『かっこいい』と、とにかく盛り上がりました」。韓国ではパク・セリに憧れゴルファーになった「パルパル世代」がよく知られているが、タイではタイガーがゴルファーの情熱の源という。 さらに熱心なスポンサー、世界のツアーに先鞭をつけた先輩たちの存在もあるという。「スポンサーとしては、ビール会社のシンハーが有名ですが、ここは社長がとにかくゴルフ好き。サポートするから宣伝してというような姿勢がまったくなく、見返りを求めないんです」と、選手がのびのび活躍できる環境を指摘。 先輩としては「日本ツアーの(プラヤド)マークセン選手の存在は大きいです。後輩選手の面倒をよくみてくれて、いまのクロンパ選手やチュティチャイ選手の活躍につながっていると思います」 世界に目を向けると「ジェイディ選手がヨーロッパで活躍して、それに続くのが(キラデク)アフィバーンラト選手。先輩が"ルート"を作ってくれているんです」さまざまな種が花となり実となりつつあるタイのゴルフ。当分、目が離せない。
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