アメリカで、来年からトップが変わるのは、大統領ばかりではない。米PGAツアーのコミッショナーも変わるのだ。
22年に渡って"君臨"してきたティム・フィンチェムコミッショナーが引退し、46歳のジェイ・モナハン氏が4代目の米ツアーのトップになることが決まった。
モナハン氏は大学を卒業後、ITのEMC社に入社して、02年にIMGへ。02年にドイツバンク選手権のトーナメントディレクターも務めている。06年に他のマネジメント会社に移り、大リーグのボストンレッドソックスなどのスポンサー担当を務めた後、08年にPGAツアーに移り、数多くの試合の運営を行ってきた。
モナハン氏をフィンチェム氏に紹介したのは、ドイツ銀行のCEOセス・ワウフ氏で、「ティム(フィンチェム)は、素晴らしい仕事をした。しかし、クライアントサービスという点では、今一つだった。以前は企業のトップがゴルフ好きなら、トーナメントが開催できたのだろうが、今は1000万ドルプラスの費用がかかるのだから、スポンサーを満足させるという観点も必要」と話す。そういった点からモナハン氏に白羽の矢が立ったようだ。
現在の米ツアーを育て上げたのは、2代目のディーン・ビーマン氏とフィンチェム氏と言っても過言ではない。ビーマン氏の時代には、アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラスといったカリスマプレーヤーがおり、フィンチェム氏には、グレッグ・ノーマンに続いて、タイガー・ウッズがいた。そうしたなかで、テレビ放映権料や試合の賞金を倍増させることができ、トーナメントスポンサーのなり手もウェイティングリストができるほどだった。そのため、ビーマン氏もフィンチェム氏も"独裁君主"のようだったとされている。実際、プロゴルファーでもあったビーマン氏が、引退後、シニアツアーに出場しようとしたところ、招待を断ったスポンサーがいたほどだ。
それとは対照的に、モナハン氏は腰が低く、裏方に徹してインタビュー依頼も断っているほど。来季から米ツアーがどのように変わっていくかが楽しみだ。
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