世界ランクトップ3が予選で姿を消した全米オープンで最後に笑ったのがブルックス・ケプカ。でも、そもそもケプカってどんな選手だろう……?
ゴルフの師匠は父・ボブさん。ボブさんは学生時代は野球に勤しんだが、卒業後"叔父"が経営するゴルフ場で働き始めると、見よう見真似で腕を磨き独学でスクラッチプレーヤー(HC0)になったという人物。
そして、その"叔父"がすごいのだ。50年代から60年代にかけメジャーリーグで活躍したディック・グロート遊撃手。60年には首位打者に輝きナショナルリーグのMVPも獲得しており、大学時代、野球とバスケの両方でオールアメリカンに選ばれた唯一の存在なのだ。つまりケプカは並外れたアスリート一家の一員というわけ。
父の指導でメキメキ実力を蓄え、小学生の頃すでに高校生を負かすほどだったが「早くプロになりたい」という息子を父は「大学を出てからにしろ」と一喝。「自分が特別だと思うな」と戒められたが「いつかPGAツアーでビッグになる」というのが口癖だった。
フロリダ州立大学を卒業し12年晴れてプロ入りしてからは渡欧して武者修行。デビューイヤーに二部ツアーで初優勝すると、翌年に3勝を挙げレギュラーツアーに昇格。14年トルコ航空オープンに勝って15年念願の米ツアー参戦を果たす。と、いきなり2月のフェニックスオープンで松山英樹との優勝争いを制してアメリカ初V。昨年のライダーカップでも活躍し、「今後、もっとも注目される米国人選手」とグレーム・マクダウェルに絶賛された。
ケプカの代名詞はツアー屈指の飛ばし屋。昨年のダンロップフェニックスで優勝を争った池田勇太は「信じられないほど飛ぶ」と脱帽。かつてタイガー・ウッズが「自分の飛距離が落ちたのかと思った」と苦笑いしたほど。今回は飛んで、かつ曲げないゴルフで勝利を手繰り寄せた。
奇しくも最終日は父の日。父・ボブさんにこれ以上ない親孝行ができた。
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