週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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我孫子のバンカーには魔物が……
葭葉ルミは茫然自失

　畑岡奈紗の圧勝で幕を閉じた日本女子オープン。舞台となった我孫子ＧＣは昔から「バンカーが難しい」と定評があったが、図らずもそれを証明したのが同大会での葭葉ルミだった。

葭葉が＂魔物＂のえじきに……

　２日目、７番パー４。葭葉はティショットをフェアウェイバンカーに入れ、出すだけ。３打目がガードバンカーにつかまり、そこから打てども打てども脱出できず、バンカーだけで４打を要した。実に８オン２パットの10。それまで６アンダーで６位だったが、メンタルのショックも大きかったのだろう、結局その後も２打落としてやむなく予選落ち。葭葉はホールアウト後、「すみません、よく覚えていないんです……」と茫然としていた。

　葭葉をそれほどに落胆させた我孫子ＧＣは開場が１９３０年（昭和５年）。設計したのは日本のゴルフ黎明期をリードした赤星六郎。米国のプリンストン大学でゴルフを覚えて帰国し日本オープンを創設。自ら1回目の優勝者となった。当時、来日して、東京ＧＣ、廣野ＧＣを設計したチャールズ・Ｈ・アリソンに接待役として付き添った赤星は彼の設計思想に感銘を受け、アゴがせり出す深いバンカー（アリソンバンカー）、小さな砲台グリーンを我孫子に現出させた。

　戦後、同ＧＣでプロになった林由郎はこのアリソンバンカーを克服するために日夜励んだ。「薄いブレードのウェッジで高い球を打つためリストを使って、時にはインパクトでまたテークバック側へゆり戻す練習などを目撃しました。実際教えてもらったことも度々でした」とは同コースのメンバーで、同大会のゼネラルプロデューサーでもある戸張捷氏。

　林の後に、世界の青木功、欧州シニアツアーで活躍した海老原清治らが弟子入りし、バンカーの名手が集う「我孫子一門」が形成された。

　２０１２年にワングリーンの国際基準のコースへと改造されたが、＂難バンカー＂の基調は健在だ。

　
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