USGA(全米ゴルフ協会)、R&Aは世界のツアーでのディスタンスレポート(飛距離報告)を発表したが、賛否両論が沸騰している。
USGAとR&Aは02年から共同声名で「プロツアーでの顕著な飛距離アップは好ましくない」と、監視し続けているが、これまでは毎年0・2ヤード増とわずかな伸びにとどまっていた。しかし、今年は30万球以上の競技者の飛距離を計測した結果、世界各地のツアーで一挙に飛距離アップに転じた。なかでも急激な伸びを見せたのは、日本男子ツアー+5・9ヤード、ウェブドットコムツアー+6・9ヤード、欧州女子ツアー+6・4ヤード。下がったのは米女子ツアーでのマイナス0・8ヤードのみ。
メジャー18勝、現在は世界中でコースを設計しているジャック・ニクラスは「半世紀前から私は言い続けている。飛距離を競うよりワザを競うべきで、そのためには飛距離を制限するボールを開発すべきだと」
また、ニクラスに続くメジャー14勝のタイガー・ウッズも昨年「ボールについて何か手を打つべきだ。このままだとコースを8000ヤード以上にせざるを得ない」と発言。
しかし、否の意見も多いことは事実。今回の同レポートでは、世界でいちばんボールを販売しているタイトリストが即座に反論。「飛びすぎるボールがゴルフにはマイナスという議論に証拠がない」(ウォーリー・ユーラインCEO)。またPGAオブ・アメリカや米男子ツアーもこぞって反対。フィル・ミケルソンは「不当にロングヒッターを罰することになる」と、これまた反対の意見。
USGAの競技委員で、R&Aの会員でもある川田太三氏は「USGAはメーカーを敵に回したくはない。なぜならメーカーはボールが飛んでゴルフが楽しくなるという大義名分を持っているし、性能開発のために多くの資金と人材をつぎこんでいる。実際、USGAやR&Aは過去に用品をめぐる訴訟沙汰があったし、そう強いことはいえない立場。でも、このままではトラディショナルコースが立ち行かなくなることも確かで、どこかで歯止めが必要なこともわかっている」
これからも、消費者、メーカー、プレーヤー、コースなどを巻き込んで、議論はいっそう熱くなっていきそうだ。
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