ゴルフ場も最近は多角化戦略で、水耕栽培など本格的に異業種経営へ乗り出しているコースもあるが、今度はあの世界三大珍味のひとつ“キャビア"(チョウザメの卵)がターゲットというから驚く……。
キャビアを産むチョウザメの養殖を始めたのはセントラルパークGC(山口県)。ゴルフ場経営だけでは厳しいので、敷地内に24度の温泉が出たのをきっかけに養殖を始めたというが……なぜ、チョウザメ?
「やはり高級食材のキャビアが目的です。温水だと成長が早いですから。ただキャビアができるまでは7~8年かかるので、それまでチョウザメのオスを魚肉としてフレンチレストランなどに販売しています。むろんゴルフ場でも照り焼き定食などで召し上がれますよ」(同GCの母体、長州産業新規事業部・森田努氏)
チョウザメの味はタイとフグをミックスした食感で淡水魚でもあり、海のサメのようなアンモニア臭は全くないという。現在はゴルフ場内3カ所に設置した水槽のほかにも、ゴルフ場から車で30分ほどにある別府弁天地に隣接する養鱒場を美祢市から借り受け、約1000匹のチョウザメを養殖している。あと7年待てば、同GC食堂で格安のキャビアが食べられるわけだ。
2年前、ぎふ美濃GC(岐阜県)では水耕栽培の最先端技術を駆使して野菜(フリルレタス、グリーンリーフ)を栽培し始めた。温度や湿度が徹底管理された室内で赤色、青色のLEDを使って光合成を促進させる栽培法だ。これは天候に左右されずに安定供給できるだけでなく、無菌栽培のためそのままサラダとして提供できる。同菜園では1日あたり3000株が収穫可能という。ブランドとしてゴルフ場以外にも街中のレストラン、ホテルなどに流通し、立派に事業として成立している。
同GC元グリーンキーパーの安藤智昭氏(現母体会社、協栄興業・事業部長)が中心となってこの事業を推進してきた。
「芝草管理での観察眼は大いに役立っています。水、光、養分をコントロールすることで理想の野菜づくりに近づいています。規模の拡張を考えているところです」(安藤氏)
ゴルフ場には大小とはいえ用地の“スケール"がある。それを活かして、これからも多角化戦略がさかんになるかもしれない。
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