欧州ツアーのポルシェヨーロピアンオープンで、聴覚障害のあるアマチュアが"あわや優勝"のドラマを見せた。
開催地ドイツ出身の30歳アレン・ジョンは常人の5パーセントしか聴力がなく2歳から補聴器に頼る生活を送ってきた。その彼が優勝したリチャード・マケボイに1打差、パトリック・リードら大物を凌ぐ2位タイに入賞。7打差からスタートした最終日、15番から3連続バーディを奪ってリーダーボードの最上段に。最終組のマケボイが18番でバーディを奪い、頭ひとつ抜け出したが、聴覚障害者の健闘ぶりに地元のギャラリーから熱狂の渦が巻き起こった。「18 番でリーダーボードを見て自分が優勝争いしていることを知った。ワオ、これはカッコいいぞ! と思ったよ」とジョン。
ハンディをものともせず幼少期からゴルフに勤しんだ彼は高校を卒業するとアメリカの大学にゴルフ留学。一時はプロ転向し、下部ツアーに挑戦したこともあるが一昨年アマチュアに復帰。すると17年には国際オリンピック委員会公認のデフリンピック(聴覚障害者のためのオリンピック)に出場し、金メダルに輝いた。
それらの実績を認められ、今回主催者推薦によるツアー参戦と相成ったのだが「よく、本当に聴こえていないの? と聞かれるけどもちろん聴こえない。でもそれが便利なこともあるんだ。余計なことをいわれそうなときは“いまオフラインなんだ"っていうことにしている」と笑い飛ばす。
「今回2位に入れたことは大きな自信になった。いままで味わったことのないような素晴らしい気持ちで満たされている。やればできる。この自信を次のチャンスに生かしたい」
プロ再転向が囁かれているが、アマであれプロであれ彼の足跡が障害を持つアスリートに夢と希望を与えたことは間違いない。拍手!
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