日本オープンの舞台、横浜CCをテレビで見て「なんてブッシュの多いコースなのだろう」と思った向きも多いだろう。大仰にいうと、あのブッシュに、これからのゴルフ場の"あり方"がつまっているのだ。
こういうのもゴルフの醍醐味!?
日本オープンでは西コースに東コースの一部が混じっていたが、西は極端にいうなら、フェアウェイとグリーン以外は、〝本当の意味〟でのラフ、林の中までもカヤやススキなどの雑草がびっしりというレイアウト。
西を改造したのはビル・クーアとベン・クレンショーだが、彼らの設計理念の真ん中にあるのは「アーリー・アメリカン」、つまり米国のゴルフ場造成草創期の頃のコースのことだ。その時代、米国では英国のリンクスを範とした。リンクスは自然に手をつけず“そのまま"が基本。現在こそグリーンには手をかけるが、基本は、散水さえせず、メンテナンスは最低限、というもの。
改造が終わった後、クーアは「米国でさえ水は貴重になってきました。ですから可能な限り、フェアウェイとグリーン以外は、その地で自然に茂る草などを移植します。そうすれば散水はおろか省力化、ノーメンテでゴルフ場は持続・継続しやすくなるのです」と話した。
R&Aでも、自然資源の水を大切にし、「これからのゴルフ場はサステナビリティー(持続可能な施策)を考えよう」と世界に呼びかけている。
クーアとクレンショーの設計理念が具現化したのは米国パインハーストNO.2の改造だろう。できるだけラフをなくし、メンテに手のかからないウェイストエリアを配したからこそ、2014年には全米オープン、全米女子オープンを立て続けに開催できた。ギャラリーにラフを踏まれたシュチエーションならこうはいかなかった。
横浜CCのほうに話を戻すと、このブッシュは一部の会員には不評という。ブッシュに入ってロストボールになるケースが多いからだというが、ゴルフが“自然との戦いとはよく言われること。そんなリンクス気分を味わうのも悪くないと思うのだが……。
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