「スポーツと政治は切り離して考えるべき」とはよく言われることだが、またも問題視される"事件"がゴルフ界で起こってしまった。
前頁で紹介した、ネリー・コルダが優勝を飾ったスウィンギングスカート選手権は台湾で開催されたのだが、そこに中国出身のフォン・シャンシャンの姿はなかった。出場予定だった同じく中国出身のルーキー、リュウ・ユも同様。2人ともエントリーはしていたものの、直前で棄権したのだ。これに関して、大手通信社や台湾の新聞は、前週に上海で開催されたビュイックLPGAで、この2人に対し中国政府から「台湾での試合には参戦しないように」という圧力があったと伝えた。
シャンシャンとユはこれに関して口を閉ざし、2人のマネジャーなどの関係者も政治的な圧力を否定しているのだが……。実際のところ、大会の公式ウェブサイトには、試合の週の月曜日まで2人の写真が掲載され、出場選手リストにもしっかり名前が掲載されていたのだから疑問符がつくのは当然だろう。
2016年に民主進歩党の蔡英文氏が台湾総統に就任して以来、中国と台湾の関係は冷え切っており、台湾を自国の一部と主張する中国の政治的な圧力がこの2人に働いたというのが大方のメディアの見方だ。
今季は勝ち星に恵まれないものの、12年の全米女子プロの勝者で、リオオリンピックの銅メダリストでもあるフォン・シャンシャンは、昨年3月にも、ミサイル防衛システムの構築で中国ともめていた韓国での試合も棄権した(させられた?)という前歴がある。
ケガ以外でのドタキャンはゴルフでは珍しいうえに、今回は2人揃っての棄権とあって、政治的な圧力を否定するのが難しい。
シャンシャンとユは、スポーツの悪しき政治利用の“犠牲者となってしまったのかもしれない。
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2017/10/10 ゴルフも政治に振り回される?
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