先の11月30日、ジョージ・H・W・ブッシュ米元大統領が94歳で他界した。“パパブッシュ"こと第41代大統領は、政治的にはその評価が分かれるところだが、ゴルフ界からは、彼の悪評を聞いたことがない。
パパブッシュの祖父はウォーカーカップに名を残すジョージ・ハーバート・ウォーカー。父親のプレスコット・ブッシュも下院議員になる直前までUSGAの会長職を務めている。「父親はスクラッチプレーヤーで、母も良いゴルファーだった。私は幸運にも、中心にゴルフがある家族の中で育った」と2007年にUSGAのボビー・ジョーンズ賞を受賞した時に語っていただけあって、まさにゴルフの“本道"を歩いたと言えるだろう。
「私はさまざまな活動や、新しいゴルフ振興プログラムを皮切りに、彼を知り得ることができ誇りに思う」とPGAツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハン氏。ブッシュ元大統領と親しかったとされる前コミッショナーのティム・フィンチェム氏は「ゴルフ界全体が、彼のゴルフに向けられた“利他的"な献身に深く感謝するものだ」と語っている。そんなゴルフ界への貢献に対し、97年には名誉の殿堂入りを果たし、2009年にはPGAツアーから「ライフタイムアチーブメント賞」を受賞している。
そして、ブッシュ元大統領のゴルフに関して有名なのがプレーの早さである。タイガー・ウッズが一緒にプレーした際「多分18ホールを2時間半以下でラウンドした」と語っているほど。大統領就任期間中は2時間前後でラウンドしていたとされているが、それでも「彼が周りにいると素晴らしい気分になる」(タイガー)というのだから、同伴プレーヤーにも十分気を使っていたのだろう。スロープレーの防止策がルールに盛り込まれ始めた昨今、ブッシュ元大統領のファストプレーは時代を先取りしていたのかもしれない。
冥福をお祈りする。
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