年末に世間をにぎわせたLPGA(日本女子プロ協会)とテレビ局の放映権問題はまだ解決をみたわけではなく、これからも攻めぎ合いが続くようだ。
17年8月、トーナメント主催者会議でLPGAは同協会に放映権を帰属させる考えを発して以来、主催者側、テレビ局と交渉してきた。18年7月にはツアー開催規定の変更、放映権の帰属をはじめ、大会ロゴや入場券販売などの主催者権利をLPGAの承認事項とするなどを通達してきた。しかし、11月下旬、ツアー開催の規定変更、放映権帰属は合意に至らず、ツアー日程発表では今季の試合が1増3減の25 試合となったのは周知の事実。3減は日本テレビ(メジャーのワールドレディスなど)系列局の3試合。日本テレビ広報は「LPGA側は協約書に原則無条件で締結する姿勢に終始し、協議に臨む姿勢は誠実さを欠いた」として、試合開催の申し込みをしなかった。実は、ほかのテレビ局も放映権で合意したわけではなく、継続審議としたのだという。
女子ツアーはテレビ局の協賛で発展してきたが、13年に一般社団法人となったため、税制上の優遇を受けられなくなり、小林浩美会長は放映権を一括管理し、有料のネット配信事業者に売ることで安定財源とすることを決めた経緯がある。米国のPGAツアー方式で、同ツアーの莫大な収入はこの放映権によるものだ。
女子の試合のトーナメントディレクター、テレビキャスターも務める戸張捷氏は「LPGAは性急すぎる。権利はリスクを負って得られるもの。これまでテレビ局や広告代理店が負ってきたリスクをもう少し理解せねば。これでは人の持っている権利をリスクも負わずに今すぐよこせというふうにしか見えない」。
小林会長の手法を評価するのはテレビ解説者のタケ小山氏。「LPGAは51年かけて、あるべき姿を見せてくれた。いつか誰かがやらなければならないこと。生ぬるいことでは実現しない。一部選手から不満が出ているが、早急に選手会をつくり、執行部と分けて協議することを薦めたい」
米PGAツアーに詳しい佐渡充高氏は「放映権を持つことは協会にとっていちばん大事なこと。だからこそ慎重に時間をかけて一歩ずつ進んでほしかった。序盤でつまずいてイバラの道になったのでは……」と危惧する。
ツアーが興行である以上、自組織で番組を作り、ライブでファンに試合を見せる。これは放映権を持たねばできないことだが、LPGAはもう少しソフトランディングできなかったのだろうか……。
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