先頃開催されたUSGA(全米ゴルフ協会)シンポジウムで、ゴルフ界のイノベーションの提言の1つ「都市のゴルフ場の社会貢献」研究が発表された。
酷暑対策にゴルフ場が役に立つ!?
発表したのはミネソタ大学園芸科教授、ブライアン・ホーガン氏。研究対象は農薬と栄養素の輸送など。同氏はこれらのトピックと持続可能なゴルフ施設について世界中で講演している。
増大する都市の課題として、雨水の管理と汚染、都市の花粉媒介動物、レクリエーション活動、ヒートアイランド現象などがあるが、都市の中にあるゴルフ場はこれらの現象に「非常にプラスの効果がある」とホーガン教授は言う。
それらのなかから、とくに例をあげて研究結果を説明したのはヒートアイランド現象について。
モデルにした都市は、米国ミネソタ州にあるミネアポリス・セントポール都市圏。182の都市と郡区で構成され、都市部の人口は約340万人、ゴルフ場は135カ所。もし、この135カ所を全部都市住宅地域にすると1晩あたり0・89度(摂氏)上昇すると試算している。
昼間、気温が上がっても緑や地面の土が露出していれば、熱が放出されて夜は下がるのが自然の摂理。しかし、ビル群が林立し、地面もコンクリートに覆われていれば熱が保たれ、夜でも気温は下がらない。これがヒートアイランド現象である。
ところでこの都市部には3つのゴルフ場が存在している。都市部の全体図で気温の推移を計ってみると、ダウンタウンでは夜の高気温を示すカラーが〝真っ赤〟なまま。他方、3つのゴルフ場周辺の住宅地は、夜には気温が下がった証拠である〝青い〟カラー表示になっていく。同教授の試算ではこの3つのゴルフ場が1つの住宅地になれば、なんと1・7度(摂氏)上昇するというのだ。
「ヒートアイランド解消には公園よりもゴルフ場のほうがより効果があり、花粉媒介動物にとっても重要な生息地を提供する。雨水の保水、レクリエーションの場としてゴルフ場はいうまでもない。ただ、コミュニティとしてパブリックが望ましい」とホーガン教授。
日本でも東京郊外にあるゴルフ場をモデルにしてデータを取るよう同教授は提案した。
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