神戸生まれアメリカ育ちの日系人ゴルファー、ケン・タニガワがチャンピオンズツアーメジャー第2戦、全米プロシニアで優勝を飾った。一度はプロを諦めた男の奇跡の物語がここに。
丸山茂樹や田中秀道が米ツアーに参戦していたころタニガワは下部ツアーでプレーしていた。日本語は堪能ではなかったが、顔を合わせれば世間話を交わしたという。しかし米ツアーでは芽が出ず、90年代の終わりには日本ツアーに活路を求めて挑戦。97年の三菱ギャランでは9位タイに入り、それがツアーのベストフィニッシュ。
そんな彼も学生時代は将来を嘱望される有望株だった。今回、全米プロシニアで優勝を争ったスコット・マッキャロンはUCLA(大学)時代のチームメート。だが30年のときを経てチャンピオンズツアーの賞金ランクトップを走るスタープレーヤー(マッキャロン)とタニガワでは天と地との差が開いていた。しかしなにが起きるかわからないのがゴルフ。
じつはタニガワ、アジアやオーストラリアなどの“ドサ回り"を続けた後、03年にプロを断念している。「なにがあっても立ち止まることはできない。プロゴルファーじゃなくてもオーケーだ、と思えたんだ」
アマチュアに戻ったタニガワは13年にアリゾナアマチュア選手権で優勝するなど、純粋にゴルフが好きだったころの自分を取り戻したという。そして一昨年、チャンピオンズツアーの最終予選を突破しチで行われたピュアインシュランス選手権に優勝しシード権を得て今回メジャー初優勝の快挙を成し遂げた。
「長年の夢が叶ったなんていう生やさしい言葉では全然足りない。現実とは思えないよ」と感無量の苦労人。
「プロを諦めたころ将来自分がシニアのメジャーに勝つなんて想像もしなかった。一夜明けたら夢ってことはないよね?」。なんと勇気の出るミラクルストーリーではないか。
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