全英女子オープンで42年ぶりに日本にメジャー勝利をもたらした渋野日向子。海外や国内の反応をまとめた。
大会前はまったく無名だった渋野だが、笑顔を絶やさず積極果敢にプレーする姿は本場イギリスのギャラリーのハートをわしづかみ。「笑顔に魅了された」というファンが続出し「彼女ほど愉快な選手は見たことがない」とベテランゴルフ記者ロン・サイラック氏をもノックアウト。「素晴らしいシンデレラストーリー。彼女は特性のガラスの靴でメジャータイトルを奪った」
「スマイリングシンデレラが迎えたおとぎ話のような結末」と快進撃を伝えたのは英国のガーディアン誌。「トロフィーを手にする前に彼女はファンの心をつかんでいた」と大々的に報じた。英国国営放送のBBCは「シブノが最終ホールバーディで全英女子オープン驚愕の勝利。気絶するほど見事な勝ち方」と賞賛。「20歳のスマイリングシンデレラが全英女子オープンで優勝」の見出しを打ったスポーツイラストレイテッド誌は「海外に出るのは2度目。1度目はタイへの観光旅行で(海外での)試合経験がゼロだった」と、驚きを持って伝えている。そのほか「試合前は誰も知らなかった20歳のルーキーがメジャー初優勝!」(米ゴルフダイジェスト)「衝撃的なメジャーデビュー」(ニューヨークデイリーニュース)など。決勝ラウンドを同組で回った南アフリカのアシュリー・ブハイは「彼女は本当に素晴らしかった。若くて怖いもの知らず。ドライバーは飛ぶしパットは攻撃的。ミスを恐れていないから打てるのね。3番で4パットした後のバウンスバックは見事でした」と感服。長年「日本からメジャーチャンピオンが誕生するのが見たい」と言い続けてきたゲーリー・プレーヤーも「国外で初の試合で勝つとは恐れ入る。18番のバーディで優勝を決めるのはまさに夢の体現だ」とコメント。
また、今回の全英女子オープンは“テレビ的"にも大成功を収めた。地上局での中継が少ない米LPGAの試合だが、今回はNBC(アメリカのネットワーク局)が中継し、167万人が視聴したとのデータが出た。これは、ミッシェル・ウィが優勝した2014年の全米女子オープン以来の高視聴率だという。しかも、時差の関係でアメリカでは視聴率が稼げないとみられていたのだが……。米の視聴者も渋野の笑顔プレーに魅了されたとの見方が多く、米ツアー参戦待望論も。しかし、本人にアメリカ挑戦の意志はないようで、米女子ツアー関係者はガッカリしているという。
国内では、渋野がらみのメーカーが対応に大わらわ。ピンゴルフは、契約プロの渋野、リゼット・サラスがワンツーフィニッシュ。クラブへの注目はもちろん、「ping」と小文字ロゴで入ったキャップも話題に。女性ゴルファーを応援する意味を込めたもので、米女子ツアーでは全試合で着用。市販はされていないが、今後検討されるという。ウェアはビームスゴルフだが、渋野着用モデルはほぼ売り切れで「再入荷の予定は今のところなし」(同社)。ビームスゴルフは、渋野が5月のサロンパスカップで優勝後に契約したが、交渉自体は優勝前から行われていたというから“先見の明"恐るべし。「彼女の極上の笑顔とホスピタリティはビームス全スタッフの鑑です。ありがとう!」と、お祝いコメントも。
所属するRSK山陽放送は、社内全体がお祭りムードという。ちなみに、渋野がドライバーにつけていたヘッドカバーは「アレすけ」という同社のキャラクター。地元の住民によれば「実はそれほど人気のあるキャラではなかった」とのことだが、渋野の活躍で一気にスターダム。ヘッドカバー発売へ、山陽放送の“英断"に期待!
そして、契約メーカーではないものの、今回もっとも“てんやわんや"になったのが、よっちゃん食品工業だろう。渋野がラウンド中に食べた「タラタラしてんじゃね~よ」などが大写しとなり、話題沸騰。取材が殺到し「予想外の出来事に満足できる対応ができない」と、ホームページに“お詫び"の言葉も。こんなお詫びなら、出すほうだって辛くはない!
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