比嘉一貴がKBCオーガスタで大会記録を4打更新する26アンダーというビッグスコアでツアー初優勝を果たした。スコアはビッグだが、比嘉は身長158センチという小兵。JGTO発足以来、最も背が低い優勝選手という記録も作った。
杉原162センチ、比嘉158センチ
PGAツアーでは、もはや身長170センチ台では「小柄」と言われてしまう時代だ。158センチの比嘉一貴は小柄であることで苦労した点を「何かが下手だと苦しくなると思うので、とにかく全部のレベルアップが必要だった」と語っている。
大相撲の炎鵬(168センチ)なども小柄だからこそ人気を獲得した力士といえる。技がファンを魅了するゆえの人気で、比嘉も同じく技を磨いて勝利につなげた。
「比嘉プロはとてもクレバーな選手だ」と言うのはプロコーチの内藤雄士。「総合力が高いだけではなく非常に入念な準備をしている。練習ラウンドが終わると、傾斜計を持って、ひとりで18ホールを歩いてチェックしている。なかなかできることではない」と話す。
小兵の代表格は2011年に74歳で没した杉原輝雄だ。かつて小誌で「小が大を喰う」という連載を持っていたが、ツアー28勝(その他28勝)の戦いぶりは、まさに「小が大を喰う」だった。
また、1957年カナダカップ(現ワールドカップ)優勝で戦後の第一次ゴルフブームを牽引した中村寅吉も158センチと小柄だった。
まだ試合数が少なく、ツアー制度も確立していない時代に、中村はレギュラーツアー25勝、シニア12勝を挙げた。
比嘉は優勝インタビューで「ゴルフに限らずほかのスポーツでも、体にハンディがあるとか、いろんな悩みがある。そういう人たちを勇気づけられたらと、アマチュアの時から思っていた」と語っていた。
大柄な選手のダイナミックなプレーは見ていてもちろん楽しいが、「小が大を喰う」のもスポーツの醍醐味だ。
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