WGCの“裏"で行われたバミューダ選手権でブレンドン・トッドが5年ぶりに優勝。彼が経験した“失われた3年間"とは?
34歳のトッドは、14年のバイロン・ネルソン選手権で念願のツアー初優勝を遂げている。ツアー選手権にも出場し、フェデックスカップのポイントランク27位とトッププレーヤーの仲間入り。翌15年もプレーオフシリーズに進出。だが3戦目のBMW選手権で悪夢が。3日目をジェイソン・デイらと最終組で回っていたときのこと。最終ホールでフェアウェイをとらえたトッドは残り212ヤードの第2打で4番アイアンを握った。好調だった。2オンする自信があった。ところが打球はグリーンを50ヤードも右に外れ厄介なラフへ。結果トリプルボギーで2年連続ツアー選手権進出の夢は破れた。それどころか4番アイアンのショットがきっかけでイップスになってしまったのだ。
「まるで幽霊にとりつかれたみたいにね」とトッド本人が話す。これが“失われた3年"の始まりだ。
翌16年は29試合に出場し、予選通過は4回。17年は9試合中1回で18年はついにPGAツアーの出場機会を失った。下部ツアーでくすぶりながら「ほかの仕事を探すべきかな?」とマネジャーに相談したこともあったという。
しかし、18年、新たな出会いがあった。『グレイトボールストライカー』の著者でプロのブラッドリー・ヒューズに指導を志願。休みを返上し基礎練習に励み、メンタルコーチからは挫折を経験した元メジャーリーガーが書いた本を薦められ熟読。そうしているうちに「また勝てる」という気持ちがふつふつと湧いてきたという。
最終日に7連続バーディを奪い「62」をマークし、復活優勝したトッドは「月にも飛んで行きそうな気分。ここ数年のことを思うとあまりにも特別!」と喜びを爆発させた。
“失われた3年"を乗り越えた男の笑顔は清々しかった。
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