2020年からUSGA(全米ゴルフ協会)の新会長となるスチュアート・フランシス氏が話題だ。
というのも、フランシス氏がUSGAトップとしては異例の経歴を持っているから。
シリコンバレーで数々の大企業の上場や買収、合併などを手がけてきたバリバリのビジネスマンで、現在もエバーコアという金融アドバイス会社の筆頭経営ディレクターという肩書をもっている。これ以前には、リーマンショックで知られるリーマン・ブラザース社の副会長、リーマンの米国ビジネスを受け継いだバークレイ社でグローバルテクノロジー部門の会長職についていた。とくにシリコンバレーの金融に精通しており、これまでに、シスコシステム、フェイスブック、グーグル、ヤフー、デルといった名だたる企業の金融面でのサポートを行なってきたという。
かつてのUSGAは“金絡みの話"を嫌っていたが、今回、その金融畑の中心にいるフランシス氏をトップに迎えることで、USGAの変化の一端がうかがえる。
もっとも、フランシス氏はゴルファーとしても知られた存在で、プリンストン大学時代には全米学生選手権に2度出場し、オールアメリカンにも選ばれている。大学院はスタンフォードで、シリコンバレーのビジネス界で活躍していることから、とくに西海岸のゴルフ界で有名だ。
ちなみに、今年の全米オープンの最終日がスタンフォード大学の卒業式と重なったことから、同大で活躍するアマチュアのブランダン・ウー(結果は35位)にスタンフォードの卒業証書をペブルビーチで手渡す手配をしたのもフランシス氏だった。
USGAの会長は名誉職の意味合いが強く、結局何も変わらないのではとの声も聞こえてくる。しかしながら、USGAの会長は退任後にオーガスタナショナルのメンバーに選ばれるのが既定路線。現在、金融畑のメンバーの多いオーガスタにフランシス氏が加われば、同じくUSGA出身のリドリー現会長のように、今後のゴルフ界に大きな影響を持つ存在になり得るだろう。
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